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王道を走れば:幻想にて
第二章、その6:王都
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家々を取り囲むように石造りの内壁が円を描き、その外側にはもう一つの街並みが広がっている。石材の白色も見受けられるが、それ以上に所々で茶褐色の木の屋根が広がっており、内側の街とは一転したみすぼらしい街並みといえよう。王都には立派な城壁を隔てて富裕と貧困の歴然たる差が存在しているという事実を、慧卓は目に映る風景から見て取った。
 そしてその風景全域を取り囲むように厚みを保った外壁が聳え、そして更に外側には広大な田園地帯が広がっている。今が夏の待ちに待った収穫時であったのだろうか、四方へ伸びる大きな街道を挟み込むように、小麦色に色付いたライ麦畑が夏風に靡いている。街道には商人が馬車を回した痕であろう、土の路面に轍(わだち)が深く走っている。交易盛んな王都である事が窺えた。

「うーん・・・記憶が正しければの話だけど、塔がああ見えるって事は、こっちは北側かしら?」
「はい、その通りです」
「東門から入っても良かったんじゃない?」
「其処は少々些末な事情がありまして。王都の内壁を潜れば、直ぐに分かります」

 街道を真っ直ぐに王都へと進んでいけば、畑にて農作業に励んでいた農民等がそれを見遣って口々に言う。 

『おっっとぉ、討伐軍が戻ってきたぜ』
『本当か!お帰りっ、コーデリア様!!』
『・・・なんなんだ、あのごつい男?いや、女?』
『漢じゃよ、漢』

 入り混じる声の中、一際大きく若い男の声が響いた。

『おいミシェル!!てめぇ此の前に貸したバックパックを早く返しやがれ!!利子付いて三倍返しだ!!!』
『馬鹿言うんじゃねぇですよ!!借りた直後にこの任務なんだぞ!三日くらいしか使ってないわ!!!』
『それでも期限過ぎてんだよ!!!早く返さねぇとてめぇの姉貴に言いつけるぞ!!!!』
『ちょっ!?わ、分かった!!明日中には返すから絶対に言うなよ!?姉御に言いつけたらマジでお前殺すからな!!!』
『殺すんじゃない、ふざけんじゃない、商売できないでしょ!!兎に角、明日、何時もの場所だ!!分かったな!!!』

 やけくそに木霊する喧しい口喧嘩に、並居る兵員は揃ってにやけ面を浮かべていた。指揮官たるハボックもそれを聞いてか苦笑気味に頬を歪めていた。
 やがて一軍は大きく構えられた城門へと近付いていく。城壁の上からその泰然たる様子を見詰めていた守衛の者達は頷きあう。

「うっし、王女様達が来たぞ」
「よし。じゃぁ、通達通りに」

 守衛等は街の方向へと足を進め、胸を大きく膨らませて、城壁から猛々しい咆哮を吐いた。 

『コーデリア王女殿下、山賊討伐軍、御帰還である!!御帰還である!!!』

 その大音声は今し方城門を仰ぎ見ていた慧卓の下へと届き、鼓膜を大いに驚かせた。ふと慧卓は思い出す。

「・・・そういえば、な
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