第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十九話 交差する風
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人物達が二人同時に斬りかかって来る。
「傲慢」
左手に小太刀を持ち迫る二つの剣を受け止めながらこの状況になった経緯を思い返す。
大ちゃんに頼まれたのは数日前にこの近辺に妖怪の集団が移動して来たらしいのでどんな妖怪か調べて欲しい、というものだった。
基本集団で行動及び生活する妖怪は割りと限定される。単独を好む、そもそも単一固体、等の理由で集団行動しない妖怪の方が多いのだ。
集団で生活する妖怪の代表が河童と天狗であり人に友好な河童と違い天狗は人どころか他の種族からも距離を置いた生活をしている。
余談だが鬼は群れで居る者と単独で居る者で真っ二つに分かれる。単独で居る者は群れるのが嫌いというよりは単に彼方此方を自由に動き回るのが好きなだけな気もする。
山であるので十中八九天狗だろうと思い調べに来たのだが行き成り襲われるとは思わなかった。彼らが自分達の領内に入る者に警告をするのは有名な話だ、それなのに問答無用で襲撃されているこの状況は何なのか。
僕に斬りかかっている人物の一人は大柄な男性で白の短髪に白の口髭を生やし白い狩衣と黒い袴を纏い手には刃渡り七十cm、刃幅三cmの白刃が握られており、そして頭には獣風の耳と腰辺りには獣風の尻尾が在る。
もう一人は女性で白のショートヘア、白い狩衣に膝下の黒いスカート、右手に柳葉刀、左手に盾を持ちこちらも耳と尻尾を持っている。
左右から僕を押し留めるかのようにしていた二人が申し合わせたかのように僕から離れ、直後僕の背後から直径三mほどの横凪の竜巻が襲い掛かる。
その竜巻を傲慢で創り出した五mの盾で防ぐと僕は竜巻を発生させた本人へと向け全速力で飛ぶ。
視界に捕らえたのは赤い瞳をした黒のセミロングの女性、半袖の白シャツに膝上の黒のミニスカートを着ており手には葉団扇が握られている。そして彼女の背には一対の黒い羽根がありその羽根を羽ばたかせたと思った瞬間彼女は僕の視界から消えていた。
速いな、そう思いながら周囲に視線を送ろうとした時、嫌な予感がしてその場を全力で離れると僕がさっきまで居た場所が透き通った水晶の様になる。
なるほどさっき頭をぶつけたのはこれか、空間を凝結させる能力って所かな?とりあえず捕まると厄介そうだ。
僕の体制を整わせない様にする為か白髪の二人が再び斬り込んで来る。それをいなし躱しながら正直僕は迷っていた。迷っている事は彼等を攻撃するか否かである。
襲われている以上反撃しても問題は無いのだが、何となく躊躇っている。理由は良く見ると彼等は傷だらけなのだ、彼方此方に包帯を巻き動いたせいだろう包帯には血が滲んでいた。
もしかしたら彼らは何かに襲撃された後で僕の事をその襲撃者の仲間だと思っているのかもしれ
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