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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十九話 交差する風
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でないって、ちょっと脅したら情けない悲鳴上げて気絶しただけ」

「ならいい、奴にはまだ喋ってもらう情報がある筈だからな」

 そう言うと月詠は後ろに付いて来ていた者達に合図を送り、その連中は扉を開け部屋へと入っていった。恐らく殿朗を拘束しにいったのだろう。

「あんたが此処に居るって事は外は片付いたの?」

「所詮は有象無象だ、相手にもならん。百鬼丸の一派でも居るかと思い念を押してきたんだがどうやら外れた様だ。それにしても洩矢、どうしてお前が来たんだ?七枷が来る予定だっただろう?しかも開始時間ギリギリに来て」

 月詠の言う通り今回の作戦は虚空が来る筈だったのだが急遽あたしが行く、と変わってもらったのだ。理由は単純で祟り神として殿朗に罰を与えたかったから。

「う〜ん只の気紛れだよ、深い理由は無いって」

 本当は祟り殺してやるつもりだったのだが虚空に絶対に殺さない事を厳命されたので脅しだけで止めるしかなかった。
 あたしと月詠がそんな会話をしている所に一人の大和の神が小走りでやってくる。

「失礼します月詠様、砦内一階部分に地下への扉を発見致しました!突入準備は整っておりますが如何致しましょう?」

「地下か…私も行こう、案内してくれ」

「じゃぁあたしも行こうかな。いいよね?」

 あたしが月詠にそう聞くと「かまわん」と一言発し大和の神と共に廊下を進んで行く。あたしはその後を追いかけ地下へと向かうがその地下で見つけたものはあたし達の予想しないものだった。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 燦燦と照りつける太陽の下、所々地面が抉れているが太陽の輝きに負けていない黄金色の花畑で僕は思いっきり伸びをする。

「お疲れ様です虚空さん!お茶どうぞ!」

 そう言って大ちゃんが緑色の液体が入った茶器を差し出してきたので「ありがとう」とお礼を言いゆっくりと口に含む。多分チルノの能力を使ったであろう程よい冷たさが身体を冷やしていく。

「あっ紫さんもどうぞ!」

 大ちゃんは僕の隣りでふてくされている紫に茶器を差し出し、紫はそれを無言で受け取ると僕を見ながら声をかけてくる。

「――――ねぇお父様、どうして私があの女の花畑の手入れを手伝わないといけないのかしら?」

「どうしてって、諏訪子が僕の仕事を取っちゃったから時間が出来て、丁度いいって事で此処の様子を確認しに行くって言ったら紫が一緒に行くって付いてきたからついでに手伝って、って事になったんだよね?」

 七枷の郷襲撃事件の後此処は百鬼丸の手勢を生け捕る為に大和の神達が結界の外で待機していた為チルノや大ちゃん達も入れなかったのだ。しばらくして百鬼丸の方も此処が罠に
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