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王道を走れば:幻想にて
第二章、その5:衣装変え、気品な方角
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ようなゴスロリと言った方が正確であろう。
 ワーグナーがアリッサの正面に立ち、その衣装をじっとりと見詰める。

「ほぉ?流石は美麗と名高いクウィス殿だ。見事なまでに似合っておる。まるで野に可憐に咲く一輪の「ちょっときつくないですか?」っとぉ!?」
「きゃっ!!」

 突然に近寄ってきた声に驚いて、ワーグナーはアリッサを押し込めるような勢いで試着室へと入り込み、カーテンを閉める。息を殺す二人の近くで、店の奥から戻ってきたであろう慧卓らの声が聞こえて来た。

「ふむ。採寸通りの服が合って幸運でしたな。身体に確りとあっていますぞ、ケイタク殿」
「でもそれが逆にきついっていうか...腰周りと足が締め付けられる感じがするんです」
「貴方は元々引き締まった体躯でおられます。肢体を強調する服装を着込めば、『セラム』には見られぬ容姿も合わさって周りと一線を画す、端麗にして堂々たる姿となりましょう。逆に身体を大きく見せるような服を着られては、稚児のような印象を受ける事は逃れません。そうなれば宮殿内では否応にも下に見られます。そうならぬためにも多少の苦労も必要ですぞ」
「・・・俺、其処まで自分の顔が良いとは思ってないんだけどな・・・」
「ふふ、そうですか・・・さて、コーデリア様。そろそろお姿をお見せになっては如何でしょうか?」

 キニーの言葉に数秒遅れて、恥じらい気味で消えかけるような言葉が紡がれる。 

「・・・でもキニー。やっぱりこれは恥ずかしいです・・・流石にその、皆の前に見せるにはーーー」
「っ!コーデリア!」
「はっ、はい?」 
「俺、コーデリアが選んだ服が見たい。どんな風にコーデリアが綺麗になっているか、近くで見てみたい。駄目かな?」
「・・・・・・わかりました」

 こつこつと、フロアを靴が叩く音が響く。そして静謐に包まれた空間の中で、コーデリアの透き通った声が伝わった。 

「・・・どう、でしょう、か」
「・・・とても綺麗だ。太陽の煌きも、水面の美しさも霞むくらい、凄く綺麗だ」
「・・・・・・そう」

 感嘆の言葉を率直に表す慧卓に、コーデリアは満更でもないように喜色を浮かべながら言葉を紡いだ。両者が何を着ているか気になったアリッサとワーグナーは、顔だけをカーテンより覗かせて、思わず二人の姿に見蕩れてしまった。 
 慧卓が召しているのは、すらりとした外観を更に引き立てるような紳士服である。純白のブレザーのような服には袖口と二の腕近くに赤い曲線が走り、襟を確りと折っている。その内には淡い茶色のカーディガンに純白のシャツ。頸下には凛然とした雰囲気のある赤い宝玉を飾ったネックレスを掛けている。下半身には黒の上質の脚絆に、上等物の革靴。外観だけでいうなれば、これは寧ろ貴族の衣服という代物とはいえず、現代で言う学
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