第二章、その5:衣装変え、気品な方角
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は貴方の服を見に来ただけですから、私も手伝わないといけませんし・・・」
「大丈夫ですって!ちょっと時間が掛かりそうですから、俺の事なんて気にしなくてもいいですよ!それより俺、コーデリア様が着るようなドレスも見たいなーとか思っているんです。買わなくとも、試着とかしてもいいですって!」
「試着・・・分かりました。御好意に甘えさせていただきます」
「では、王女様、奥の方へ御案内しますね」
店の中へと戻ってきたトニアが、ささとコーデリアを案内していく。コーデリアは振り返り、『いいのか』と表情だけで尋ねてきた。慧卓が一つ頷くと可憐な笑みを見せ、トニアに引かれるままに店の奥へと消えて行った。
改めて慧卓は店内を見渡す。汚れ一つ見当たらぬまでに清楚に磨かれた大鏡が壁に掛けられ、フロアもまた埃一つ目立たない。その中央に人数人分の空間を挟みこむように二つの店棚が置かれている。左右に段々と段差を開いたその棚の上には衣服ではなく、その着用に花を添える様々な道具が置かれていた。やれピアスやネックレス、ブレスレット等がそうである。またフロアの片隅には手製の等身大の木人形が威厳のある紳士服や華麗なドレスを召して佇んでおり、その近くには畳まれた衣服を置いた店棚と、厚手のカーテンで仕切られた別のスペースが幾つか備付けられていた。現代でいうマネキンや試着室の走りを此処で見られるとは予想だにしていなかった。慧卓は以外にも先進的な店主の発想に感心の意を抱いていた。
其の時、老キニーが革製の確りとしたメジャーを持って来た。
「では、採寸を取らせていただきます」
「お願いします」
「では先ず胴回りから失礼を」
手馴れた動作でキニーは慧卓にメジャーを押し当て、回し、身体のサイズを測っていく。身長、胴の大きさ、腕の長さ、足の長さ、等々。
「鼻の穴もですか?」
「はい、大切ですから」
本当に必要なのか不可解な部分も幾つか測られたが、それは長年の経験によるものであろうと慧卓は己を納得させた。
「・・・これでよしと。測り終えましたぞ。ではケイタク様、此方に。サイズに似合った服を揃えて御座います故、そちらから気に入ったものをお選び下さいませ」
「はい、分かりました」
キニーに導かれるままに慧卓は店の奥へと消えて行った。
無言のままに数分がさがさと衣服が擦れ合う音が響き、僅かに緊張感のある空気が漂っていた。其の時、再び店前の鈴がちりんと鳴らされた。
「トニア、代わりに出てくれるかな?今手が離せない」
「はーい、只今!じゃぁ王女様、後は此処を通すだけですから、お任せ致しますね」
そそくさとトニアがフロアを駆けていき、入り口の戸を開けた。
「あっ、御客様?いらっしゃいま・・・・・・」
そして彼女は硬直する。目の
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