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久遠の神話
第九十八話 道場にてその十三

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「既に」
「そう考えですか」
「目覚めているからこそ」
「彼等を戦わせているのですか」
「あの方と共に生きる為に」
 全ては、そうした口調の言葉だった。
「それ故に」
「彼等を犠牲にすることも」
「わかっています」
 全て承知しているというのだ。
「罪人であるが故に」
「タルタロスに落とされるべきですね」
「その彼等だからです」
 神話の頃から戦わせているというのだ。
「どう使おうといい筈です」
「確かに彼等は罪人でした」
 聡美は過去形で言った。
「ですが今は」
「違うというのですね」
「そうです」
 だからだというのだ。
「彼等の魂は数えきれないだけ生まれ変わり」
「その罪もですね」
「罪はその魂だけのことではないでしょうか」
 聡美はこう声に問うた。
「違うのですか」
「私はそうは思いません」
「永遠にですか」
「残ります」
 生まれ変わろうとも罪はというのだ。
「ですから」
「そうなのですか」
「彼等はあと少しだけ」
 戦ってもらうというのだ。
「そうしてもらいます」
「お考えは変わりませんね」
「はい」
 全く、という口調での返事だった。
「それは」
「では私達もです」
「私を止めるのですね」
「今度こそ」
 この戦いでだというのだ。
「お姉様をお止めします」
「どうやら私と貴女達は」
 声に覚悟が宿った、そうして言うことはというと。
「どうしても対立しますね」
「それはお姉様の本意でしょうか」
「本意ではありません」
 それは全く、というのだ。声にしても。
「そのことは」
「そうですね、私達もです」
「しかし。本意でなくとも」
 声はまた決意をそこに込めて語った。
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