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王道を走れば:幻想にて
第二章、その3:御勉強です、確りなさい
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「詰まりですよ!色んな商品も街に広まっているって事です!刀剣然り、防具然り、馬用の藁に調度品、果ては甘味まで!」
「...甘味...ですか」
「そうです!きっと王女様のお気に召すものも此の街にありますよ!美味しくクリーミーなおっぱ、ン''ン''ッ、ゲフンゲンフン、クリーミーなパイとかね!」
「というわけで王女様!俺達二人がエスコート致しますゆえ、雨の街中でデートと洒落込もうではありませんか!」
「ミシェル、パック」
『はい?』

 瞬く間に彼らに近寄ったハボックはむんずとばかりに両腕を伸ばす。その腕の先、確りと握り締められた拳は容赦なくにやけ面の二人の頭を殴りぬいた。二人は衝撃のままに壁に倒れ込み、ずるずると床に突っ伏す。ハボックは苦笑を浮かべてコーデリアに礼をした。

「部下が大変な失礼を働き申し訳御座いませぬ、王女様。私めがきつーーーく叱り付けて置きますゆえ、どうぞ御容赦をッ」
「あ...はい、大丈夫です。お勤め、御苦労様です」
「有難う御座います...では失礼して...」

 突っ伏した二人の頭を掴んで、それを引き摺りながらハボックは宿屋の一階、彼らの宿泊先の部屋へと向かっていく。他の兵は街の集兵施設内にある兵棟に泊り込んでいるか色町に出かけている。この三名は、云わば王女等の護衛といったところか。

「ほらケイタク殿、行くぞ」
「はいはーい」

 彼らに対してアリッサ達は二階への階段を登って行く。彼女等の泊まる部屋は二階にあるのだ。店主曰く、二階部分の部屋の方が広く、一階のものと比較して豪華であるらしい。
 ぎしりと、靴が木の階段を踏みしめる音が鳴る。年季の入った壁を擦れ、冷ややかでそれでいて滑らかな感触が伝わってきた。両名は二階通路を進み、一番奥の部屋の前にてそれぞれの鍵を握る。 

「先ずは着替えよう。こんなずぶ濡れでは話すに話せない。中に着替えがあるらしいから、それに着替えてくれ」
「ふーん、アリッサさんも着替えるんですよね...ニヤリ」
「き、気持ちを口に出すな、意識してしまうだろう...。普通の格好だから、あまり期待はするなよ?」
「それでも俺には超新鮮です。期待してます」
「ったく...お調子者め...」

 言葉を言うなりアリッサは照れを隠すように早々に部屋の中へと消えて行った。慧卓もまた戸の鍵を開けて部屋の中へと入り込み、その中身を見渡す。
 彼を待っていたのは四畳半程度の広さの部屋。部屋の三分の一ほどを硬そうな外観をした木のベッドが占領しており、戸の向かい側には50センチ四方の両開きの窓がついている。窓の近くに小さなキャビネットが置かれており、台の上にタオルと着替えらしきものを詰めた籠が載せられている。

(普通だなー。本当にファンタジー)

 慧卓は戸を閉めて、ず
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