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ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
04:御転婆王女は腹黒い
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「あ、ああ。知ってるのか?魔城兄」

 古城が問うと、魔城は重々しくうなずいた。

「うん。ラ・フォリアの乗っていた船を堕としたのは、そいつだ。僕はそいつとの交戦中に弾き飛ばされて、この島の周辺に流れ着いた」
「そう、ですか……やはり、賢生は《模造天使(エンジェル・フォウ)》を」
「《模造天使》?」

 聞きなれない、しかし確実に危険だ、と分かる禍々しい単語。それを反芻した古城に、ラ・フォリアはうなずいた。

「人に霊的な進化を引き起こすことで、より上位の存在へと生まれ変わらせようとする術式です。一種の《神格化》、と言った所でしょうか」
「《神格化》?あんな化け物みたいなのが、霊的存在だって言うのかよ……!?」

 少なくとも古城が見た限り、その術式に支配された夏音は、全く霊的な高次元存在、ましてや《天使(エンジェル)》等には見えなかった。むしろ怪物、悪魔の類だと言われた方がまだ納得できる。あれが霊的な進化だなどと、いったい誰が信じようか―――――――?

「……っ!」
「!」

 その時だった。

 魔城と雪菜が、同時に同じ方向を向いた。

「……どうしましたか?」
「船です」

 ラ・フォリアの問いに、魔城が答える。

 夜目の利く吸血鬼の視力を使って、雪菜の視線をたどると、その先には見覚えのある黒い艦が見えた。

「また自動人形(オートマタ)かよ……!?」

 古城はうんざりしながら呟いた。

 オートマタが何度攻め込んで来ようと、古城と魔城の眷獣(魔城のそれはあの植物状のものしか見ていないが、実際のところ他にもいるのだろう)をもってすれば一瞬で片付けられる。

 面倒くさいなぁ、と思いながら、古城が眷獣を召喚しようと構えると――――

「いえ、待ってください、先輩。あれは――――」

 雪菜がそれを制止した。

 その視線をたどった先にあるものを見て――――古城は、軽い眩暈を覚えた。

「何やってんだ、あいつら……?」

 そこにいたのは――――無骨な船の看板に立った、二人の魔族。一人は大柄な美女。もう一人は無骨な男。古城達をはめてこの島へと送り届けた、ベアトリス・バスラーとロウ・キリシマだ。

 問題は、彼らの手に持っているものだった。

 そこには、真っ白い旗が、掲げられていた。
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