暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
第T章:天使炎上編
03:第四真祖、監視役、番外真祖、あと王女
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いうのです僕に?」
「簡単です。背中の洗いっこでもしようかと思いまして。日本では日常茶飯事の行為だと聞きました」
「いやそれは親子とか同性でやるのであってですね。年ごろの異性がやり合う事じゃないです」
「魔城はもう何十年も生きているのでしょう?」
「不死存在の精神は外見年齢に引っ張られるんです。僕の精神強度はよくて二十歳くらいです」

 時・ところ変わって日が沈み、星が空に瞬き始めたころ、無人島の中央エリア。月齢の若い月は強い光を発せず、あたりは暗いままである。だがしかし、暁魔城の吸血鬼としての視力は、その白い肌を実にはっきりととらえていた。とらえてしまっていた。

 アルディギア王国王女、ラ・フォリア・リハヴァインの。

「良いではないですか。私と魔城の仲ですし。いっそのことそのままあれよあれよというままになし崩しになって既成事実でも作ってしまいたいほどです」
「やめてください。……護衛位はしますけど、さすがに一緒に水浴びはお断りします」

 魔城は苦い表情でその提案を却下する。この腹黒王女は一体どこまでが本気でどこからが冗談なのかさっぱりわからない。いや、頑張れば分からないことも無いのかもしれないが(というかきっと()()()の魔城なら容易に分かったことであろう)、今はそれを考えないようにしている。魔城としてもそっちの方が楽しい。

「そうですか……残念です。それでは護衛、お願いしますね」
「あ、はい」

 ラ・フォリアは少し離れたところにある湖に足を運ぶ。魔城はその近くの岩に座って、あたりを警戒する。

 アルディギア王国の飛行艦船を襲撃した謎の魔族との戦いから数日。流れ着いた無人島には、偶然なのかはたまた必然なのか、ラ・フォリアも流れ着いていた(ちなみに彼女曰く運命だそうだ。魔城は性格悪い神のご都合主義だと思っている)。

 幸いなことにアルディギア王室御用達の救命ポットのおかげで生活区域には困らなかったが(魔城は古城と違って、眠らなくても一か月くらい持つ)、困ったのはラ・フォリアの御転婆振りであった。ことあるごとに魔城を困らせてくる。

 ちゃぷり、という水の音が、少し離れた魔城のところまで届く。それに合わせて

「魔城ー!のぞいてもいいですよー!」

 というラ・フォリアの声。

「のぞきませんよー!」
「あら、それは残念!」

 くすくすくす、という、軽やかな笑い声が聞こえる。

「まったく……冗談はほどほどにしてくれ……」

 はぁ、とため息をつく魔城。直後、その表情が厳しげなものに変わる。魔城の鋭い感覚が、ラ・フォリアの物とは違う気配を捕らえたのだ。

 一跳びで二人を遮っていた木々を飛び越す。湖の岸には、見覚えのある灰色の髪の毛。口元を抑えてう
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