第T章:天使炎上編
02:《焔光の夜伯》、島外へ
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た秘書も考え込むようなそぶりを見せる。
「困りましたわね……叶瀬は今島外の研究施設に行っておりまして……」
「島外……?もしかして娘さんも?」
「そのように聞いておりますわ」
今度は雪菜が考え込む様子を見せる。
《魔族特区》絃神島は、魔術の研究をするにあたって最適以外の何者でもない場所に建っている。だがその反面、地球上とのつながりはほぼないに等しいので、大地に直接干渉する系の魔術…たしか、魔城によれば『森の魔導師の魔術』と呼ばれているらしいなど……に代表されるものは、絃神島では使用できないのだ。
そのため、絃神島の研究会社には、島外にある無人島のいくつかを、研究施設として借り受けることが可能になっている。叶瀬親子が向かったのもそのうちのひとつなのだろう。
「あー……二人がいつ絃神島に戻るか分かります?」
古城なりに丁寧な言葉を選んだはずである。うん。大丈夫だ。
「分かりかねます。叶瀬が現在関わっているプロジェクトに関しては、私にも極秘ですので」
「そうですか……」
「ですが、研究施設を訪ねるのなら可能ですよ?」
え、と思わず声を漏らす。
「そんなことができるんですか?」
「ええ。連絡便が出ております。ああ、丁度次の離陸の時間がそろそろですわ」
「……それ、手配してもらえます?」
「分かりました」
ベアトリスがにこり、と笑う。
「よかったな姫柊。叶瀬の親父さんに会えそうだぜ……姫柊?」
古城が雪菜に語りかけるが、しかし彼女からの返答はない。訝しがって雪菜の方を見ると、彼女はなんだか思いつめた表情をしていた。
「……飛行機……」
あ、こいつ飛行機苦手なタイプか。
古城は、直感的に察した。
ここで気付いていればよかったのだ。秘書にも内容を教えられない『極秘プロジェクト』のくせに、片方は獅子王機関の剣巫であるとは言え、一般人が訪ねていけることに。
数時間後。ロウ・キリシマと言う名の登録魔族のおんぼろ飛行機で無人島へとたどり着いた古城達は、まんまとベアトリスにはめられたことに気が付いた。
そこは、だれも住んでいない、正真正銘の無人島だったのだ。
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