怪異の巣窟 前編
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「何なんだよこれは…!?」
―――辺り一面ゴミの山…
―――散らばる書類の数々…
―――脱ぎ捨てられた衣服ども…
一言で表すのならば、さしずめ『魔境』。殺生な言い方をするならば『ゴミ屋敷』。片づけられない、家事ができない、女としてどうなのよ?の、典型的な例が目の前に広がっていた…
「うわぁ…俺より酷ぇ……」
俺の部屋は狭いくせに物がギッシリ置いてあるが、きっちり整理整頓がされているので見苦しいものでは無い。敢えて例えるなら『ネットカフェ』だ。パソコンや漫画、更にはゲームもあるし…
ていうか、あの人ここで寝泊まりしてるのか?事前に仕入れた情報じゃあドイツ軍で教導官をやっていた時期があると聞くが、荒くれの海兵隊の方がよっぽどマシかもしれん。
「……どうしよ、帰ろうかな…」
世界最強、全国の女子達の憧れ、IS操縦者達の理想像…そんな人間の人物像がものの見事に粉砕されたため、随分と萎えてしまった…。
けれど、手ぶらで帰るのも癪なので結局は物色してみる。え?やってることが普通に犯罪者だって?馬鹿め、俺は犯罪組織の一員じゃボケェ。
「え〜と…中間テストの試作品に予算帳簿、領収書の束、臨海実習計画案……」
目に入った書類の類は全てどうでも良いものばかりだった。ここの学生にとっては重要な物ばかりかもしれないが、生憎俺が欲しいのはそんなのでは無い…。
それにしても、漁れば漁る程どれだけ酷いのかよく分かる。しかも時たま捨てられたゴミに混ざって缶ビールがコロコロと出てくるのだが……それでいいのか、教師って…?
「…ん、これは?」
もういい加減帰ろうかなとか考えていたら変な物が目に入った。思わず手に取ってそれを凝視してしまったが、普通にしょうがないことだったと思う。
黒いオーラが蔓延するこの部屋において、“それ”はある意味異質な雰囲気を放っていた。だって、ゴミだらけの部屋にひとつだけ…。
―――“ピンクのノート”があったんだもん…。
ゴミ部屋の中にそんなもんがある時点で違和感があるが、それ以上に忘れてはいけないのが…ここが『織斑千冬の部屋』であることだ。
あのブリュンヒルデの部屋がこんな惨状であること自体に驚きだってのに、今度はまさかの桃色ノート。凛々しい白とか黒とかじゃなくて桃色…。
「……て、これ裏向きじゃねえか…」
変に動揺したせいで逆向きにノートを持っていた。そのことに気付いてノートを表向きに…表紙の方に持ち替えてみる。
―――そしたら今日一番の衝撃が走った…
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