第一章、その5:門の正しい壊し方
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ておくぞ。...武運を」
「ありがとよ、坊主」
カルタスは木壁から飛び降りて、地面に足を着ける。悠然として歩みだす彼に周りの者は気付かない。ただ互いを斬捨て、その骸を晒してやろうと殺意を振り回すだけである。カルタスは衆目を浴びるように両手を高々と掲げ、鼓膜を割らんが如き大声を吐いた。
『皆の者、聞けっっ!!!我が名は鉄斧山賊団、棟梁、カルタス=ジ=アックス!!!』
砦中にカルタスの蛮声が響き渡り、鉄の得物を打ち合わせていた者達が、砦内を制圧をしようと走っていた者達が、血を流して壁に寄り掛かる者が一様にカルタスを見遣る。衆目の中心となったカルタスは満足げに笑みを湛え、血気盛んに吼え立てた。
『我が武勇と山賊の誇りを賭けて、豪刃の羆殿と、尋常なる一騎討ちを願いたいっっ!!!!』
闘気に溢れた一声に、人々は驚きを湛え、慧卓はにやりと笑みを浮かべる。闘争の一幕を見られるだけでなく、決闘の一幕をも観覧出来るとは想像だにしていなかった。慧卓ぽつりと声を漏らす。
「今日は本当に運に恵まれているな...」
天上では、血の臭いに食欲を沸かした一羽のハゲタカが自由気ままに泳いでいる。燦燦とした日光を浴びて、地面に漏れ出した鮮血が生臭い香りを漂わせてながら乾いていった。
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