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王道を走れば:幻想にて
第一章、その5:門の正しい壊し方
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横に並び立つ指揮官の呆れ色の瞳を見て羞恥を覚え、堪らず視線を逸らした。 
 慧卓といえば、木壁より足をぶらぶらと垂らし、眼下で巻き起こる剣戟の嵐を興味深げに観察していた。ゲーム内で自分がプログラム上で行っていた事がより細部を極めて現実に起こっていると考えれば、興味を触発されないわけにはいかなかった。その彼に一つの声が掛けられる。

「随分とやってくれたじゃねぇか、坊主」
「...やられっぱなしは気に食わない性分でな、山賊の親玉さん」

 山賊、鉄斧のカルタスが悠然として慧卓の下へと近付いていく。その分厚い手に握られていたのは、3メートルに及ぼうかというほどの大きさを誇る、一振りの斧槍であった。
 慧卓はの齧った程度の歴史知識であるならば、この武器はハルバードの部類に入るのであろう。槍の穂先は鋭利に尖っており、刃は三日月を描くように丸みを帯び、その反対側には突起がついている。斬る、突く、引っ掛ける、叩く。どの部分においても人の肉ならば容易く裁断し、命の水流を撒き散らすに相応しい見た目であった。カルタス自身の隆々とした逞しい体躯が尚一層、武器の凶悪さを際立たせていた。
 しかし不思議と慧卓は緊張感を覚えずにいられていた。それは、カルタスの顔に浮かべらた修羅場に似合わぬ和やかな笑みのためでもあり、緊張感の欠けた言葉の調子のためでもあった。
 カルタスは見事に粉砕され、元の姿を留めていない門を見てくつくつと笑う。

「成程な。火薬は小出しに使わず、一気に弩派手に使うものか...死に際に勉強になったわ」
「あなたは、一戦交えずして死ぬ気か?大層な得物持ってる割には、随分と弱気だな?」
「はははははっ、坊主と戦うために此処に来たんじゃないんだよ!!これはいわば、末期の挨拶ってやつさ。俺が相手をするのはなぁ...」

 途端に、カルタスの視線が一気に鋭くなり、体躯全体から沸き出ているかと錯覚してしまうほどの、強い戦意が感じられる。その様は先までに見られた朗らかな雰囲気を完全に滅失させ、彼を本来の姿、即ち血と闘志に猛る一人の戦士へと変貌させた。飢えた獣のような凄惨な笑みを浮かべて見詰める先には、大剣を縦横無尽に振り回して賊徒らを軽く圧する熊美の姿があった。

「あの豪傑、豪刃の羆だ...!!!」

 カルタスの幼き戦乱の記憶が告げていた。あの姿は、紛う事なき豪刃の姿であると。歳をとって尚豪腕を振るうほどの芸当を出来るのは、彼の者を置いて他にいないと。だからこそであろう、戦士たる自分がそれを剣戟を交えたいと願うのは。
 慧卓はカルタスの表情の変化に僅かながらの怯えを抱いていたが、それ以上に敬服にも似た感心を抱いていた。矢張り、どの世界においても戦士の血は変わらないのだ。

「...こっちを牢屋にぶち込めた奴に言うのは癪だが、一応言っ
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