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王道を走れば:幻想にて
第一章、その3:オカマっていうな
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 虚ろな足取りの正体を慧卓ははっきりと理解する。三沢はブレインコントローラーにより脳波を睡眠時のそれに強制的に移行されて、足だけを無意識に動かされているのだ。
 男の一人が前を歩く三沢の顔を覗き込む。

「結構可愛いよなぁこの子。やべっ、なんか勃ってきたわ」
「おぉおぉ、お盛んだな。んじゃ今日はお先にどうぞ。俺は後からじっくりいただきますから」
「へへ、んじゃ一丁」

 男が遠慮など彼方に放り捨てたといわんばかりに三沢の胸を服越しに握る。慧卓は電柱の陰に隠れていたために其の様子をはっきりと視認できないが、彼から視て、三沢に肩を並べて堂々と腕を彼女の胸の前に持っていった其の様は、当に胸を揉みしだくそれであった。

「おぉ、柔らけぇ!意外と胸あんぜこいつ」
「マジかよ。おっすげぇ、こりゃ期待できそうだな」
(糞っ、あいつら!意識が無いのをいい事に好き放題やりやがって!!)

 二人組みは己の気の向くままに三沢に小さな乱暴を働きつつ、住宅街を歩いていく。

「まだ此処は目立ちそうだからな、そこの細道の先に公園あっから、そこの茂みやろうぜ」
「あ、何時もの場所か、此処」
「まぁこっち側から来た事は無かったからな」

 雑談を交え二人組みは三沢を乱暴に抑えながら細道へと入っていき、それに続いて慧卓が静かに、蛇の如く緩やかに追従していった。
 細道を抜けた先にあるのは住宅街の価値をより高める涼やかな公園であった。昼間から夕方にかけて子供達の笑い声で満たされるこの場所は、夜に姿をなると一転し、幽霊でも出てきそうな不気味な空気を醸し出している。公園の花壇に咲く紫の紫陽花がコサージュのように公園の禍々しさを彩っていた。
 その紫陽花の花壇をずいずいと踏み抜け、二人組みは草むらの茂みへと三沢を倒す。虚ろな瞳のまま尻餅をついた彼女を見て、二人は笑みを一層深めた。

「うっし、着いたぜぇ、女ぁ。もう少し眠っていてくれよ」
「タブ壊さなきゃ大丈夫だっての」
「そりゃそうだ。ゲームかなんかなら、此処でヒーローが飛び出してきて俺らをぼこるってのがオチだけどな」
「はっはっは!!んな都合がよすぎる事が起きる訳ないだろっ!」

 軽く笑い声を上げると、二人は互いを見遣った。そして三沢を見詰めて掌をぱちんと合わせる。

「んじゃ」「あぁ」
『いただきます』

 今にもその無垢で柔らかな体躯を貪ろうと手を伸ばした瞬間、茂みを越えた強烈な飛び蹴りが二人の後頭部を直撃した。

「ぶろぉぁっ!?」「げぼっほぉ!!」

 奇天烈な悲鳴を零して二人組みが地を滑る。其の拍子に、懐に仕舞い込んでいたタブが地面に転がる。

「こんな物っ!!」

 果敢に飛び蹴りをした慧卓の靴が、そのタブを直上から思いっきり踏みつけた。歪な音を
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