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王道を走れば:幻想にて
第一章、その2:三者仲良く...
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されているだけなのだ。無論アリッサとて一騎士の端くれ。そんな事実など華奢な体躯を触ったその一瞬で見抜いていたが、而して今は逃走中である。突っ込みたくなる心を抑えて立ち上がり、山中へと続く道へと向き直った。

「さっ、気を取り直して、再び地下道を走るとしようぞ」
「そうですね、これなら俺も大丈夫です」
「そうか。では、ケイタク殿...」
「はいっ、アリッサさん!」
『走るぞ|(走りましょうっ)!!!』

 意気を旺盛にした二人が駆け出した瞬間、地下道の天上から鉄柵がガシャンと勢い良く降り注ぎ、一瞬にして二人を包囲した。罠である。
 気まずい沈黙が立ち込めて、二人は硬直する。慧卓は己の足元を見やって、沈黙を耐えようとしていた。居た堪れない沈黙から発した硬直から回復したアリッサが鉄柵を力強く揺らしてみるが、鉄柵はびくともせずに金属音を鳴らすだけである。地下道内に、鉄が揺らされる無機質な音が冷ややかに反響した。

「......」
「...待て待て待て待て、アリッサ落ち着いて。親衛隊の騎士がこんな簡単に捕まっていいの?」
「ごめん、なんか罠のスイッチっぽいの踏んだっぽい」
「えっ、あ、そうなの...」

 思わずアリッサは素の言葉を漏らしてしまう。だが今更怒る気にもなれず、アリッサが慧卓に目を遣って再び沈黙を抱く。かくいう慧卓も無表情のままに彼女を見返した。二人は無言のまま見詰め合う。冷たい空気が熱気を帯びた身体を纏い、汗の冷たさを自覚させていく。
 沈黙を掻き消すように、妙に溌剌とした声で慧卓が言った。

「此処は我慢です!!」
「...我慢だな?」
「えぇ、そうです!直に熊美さんが駆けつけてくれます!其の時にあの人に鉄柵を破壊してもらいましょう!これぞ『プランB(BRAKE)』!」

 自身有り気に他人を頼る姿に何も言えず、アリッサは微妙な表情で唯頷くより他なかった。
 其の時、つんざめくような蛮声が三寸路の一方から聞こえて来た。墓地の方角からだ。

『NOおおおおおオオおおおおおおおっっっっっっ!!!!!!!!』

 三寸路の一方からまるで猪のような猛烈とした勢いで熊身が爆走して来た。熊美はその勢いを殺しきれずに壁に勢い良く衝突し、同時に叫び声が途切れる。情けなく大の字に両手を広げた、人の形をした等身大の穴が出来上がった。アリッサが呆然としてその穴を見詰める。
 熊美は穴に身体を植え込みながらも、顔だけを其処から引っこ抜き、晴れ晴れとした表情で慧卓達を見遣った。美麗であった薄化粧が土に塗れて剥がれ落ち、汗の粒が化粧の仮面を拭い落としている。

「はっ、ハァィ、二人とも」
「ほらっ、プランB!!」

 己の考えの正しさを強調するように、鷹揚に慧卓が頷いた。
 その慧卓の意気を挫かんと、三寸路の
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