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王道を走れば:幻想にて
第一章、その2:三者仲良く...
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寄り掛かった慧卓の服を上げてアリッサは松明の明るみを頼りに彼の腹部を観察する。僅かに割れた腹筋に、紫がかった痣が斑点のように広がっていた。それに指をやって感触を確かめると、慧卓が苦痛を口から漏らしかけた。暴漢らの暴行は、それ相応に彼に傷を与えていたようだ。

「...酷いな」
「えぇ、そう思うでしょーーー」
「肋骨に皹が入っている。今治療しないと後に響くな」
「はいぃいい!?!?アッッ、いたたたたっ、なんか意識し始めたら急に痛み始めてきたっ!」
「まっ、待て待て!!今ポーションを飲ませてやるから!!」

 突如として思い出したように苦しみだした慧卓に慌てて、アリッサはスカートの内側に隠されたベルトより小さな薬瓶を取り出した。中には透明な液体が入っている。

「即効性の回復効果のあるポーションだ。肋骨の皹程度なら直ぐに治る。さぁ...」
「どうもっ...んん!?げほっげほっ、にげぇぇぇ!?」
「良薬口に苦しだ。我慢しろ」

 味覚を襲う強烈な苦味。後年彼が言うには、『焼き焦がして数年海岸沿いのゴミ箱で放置したソーセージ』との事だ。誰だそんなものを食べるのであろうか。
 顔を歪めながら慧卓はそれを飲もうとするも、矢張りその苦味に悩まされて、弱音を零した。

「うえぇぇっ...味きつ過ぎて飲めないってこれ。もっとマシな味をーーー」
「さっさと飲まんか!!!!」
「んぐっっっっ!?!?!?」

 痺れを切らしたアリッサが無理矢理薬瓶の口を彼に咥えさせ、中身を注いでいく。咥内に蔓延していく劇毒に目を思いっきり瞠目して慧卓は声無き悲鳴を漏らしていく。そして遂に諦めたのか、表情を大いに歪めながら慧卓は中身を嚥下していく。その最後の一滴を喉の奥へと押し通すと、慧卓は薬瓶から口を離して大きく咳き込んだ。

「げほっ、がはっ!これで本当に治るんですか?」
「痣を見てみろ」

 慧卓は疑わしげに己の服を捲って腹部を見遣り、そして驚く。先程まで痛々しげに広がっていた青痣が完全に無くなっている。指を遣って押してみても、其の部分から痛みが感じる事は無い。この最低な味をした液体状の薬により、彼の傷は治癒されていた。

「おおおっ、おおおお!!!!...ん?」

 慧卓は僅かに違和感を感じて腹部を擦る。アリッサは己の変化に戸惑いを隠せていない慧卓を見て笑みを零し、声を掛けた。

「なっ?治っただろ?」
「俺ってこんなに腹筋割れてたか?」
「えぇぇぇ...」

 それは腹筋が割れているとはいわない、肋骨が浮き上がっているだけである。彼の現代の友人ならば必ずそう言葉を漏らすであろう。普段から精の出る食品や身体に肉をつける食品を食べておらず、それに反比例して活発に動き回っているためか妙に体躯が引き締まり、結果として肋骨が強調
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