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王道を走れば:幻想にて
第一章、その2:三者仲良く...
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卓に声を掛けて起き上がる。髪飾りを回収するのも忘れない。

「さっ、行くぞ少年」
「...いきなり連れて来られて頭こんがらがって良く分かりませんが、宜しく頼みます、アリッサさん。俺は、御条慧卓っていいます」
「みじ...?すまん、名前はどっちだ?」
「ケイタクです」
「分かった、ケイタク殿。確りついて来いよ...」

 一つ深く息を吸い込み、心を和らげるように吐き出す。アリッサは身を前に乗り出して、自然体に両手を垂らす。彼女の常の走駆の態勢だ。

「結構速いからなっっ!!!」

 裂帛の如き一声を合図に、両者は一気に疾駆し始めた。アリッサが鬱蒼とした木々の中を駆け巡り、慧卓を先導する。疾風の如き走りに合わせて、地面にばらばらと撒かれている枯葉の絨毯が強く踏みつけられ、風が靡くようにふわりと宙に浮かされる。アリッサは野蛮な者達を回避するために、大きく回り込むように道なき道を走っていき、それを慧卓が必死に追従していく。慧卓自身『セラム』においてでも充分軽装な部類に値する服装を纏っており、そしてその華奢な華奢な体躯に似合わず平均以上の身体能力をクラス内では誇っていたのだが、長年重装鎧を着けて鍛錬を怠らなかったアリッサの疾駆には付いて行くのがやっとの程であった。己の脚力を自慢するようにアリッサが声を掛ける。

「どうだっ、中々私も鍛えているだろう!?」
「もしかして、熊美さんに対抗心抱いていたんですか!?」
「当たり前だ!!生ける伝説を眼前にして、騎士として対抗心と向上心を抱かずしてどうする!!コーデリア様がどこぞの馬の骨に目移りしないよう、私はもっと研鑽を積んでーーー」
「アリッサさん、弓矢っ!!」「っ!!」

 二人の心臓を追い縋るように木々の間を駆け抜ける高調子が鳴り響き、今し方二人が駆け抜けた場所を鋭く通過していく。まで弓矢で狙われている。その事実に思わず歯噛みして、アリッサは鋭く声を漏らした。

「何故だっ、ちゃんと死角に入り込んでいる筈なのに!!」
『いたぞ、あれだ!!あの白いやつを狙え!!』
『狙ええぇ、どんどん射れぇ!!!』
「「......」」

 白いやつ。慧卓は走りながら自分の服装をまじまじと見詰める。白く、清潔な感じが似合うポロシャツだ。ちなみに一着で¥3000である。

(あぁ、今日はそういえば白のポロシャツだったなぁ。じゃぁ白いのって俺か)

 彼が顔を上げると、疾駆を続けながらも呆然とした様子のアリッサと目が合う。後方を振り返りながらも全く木にぶつかる様子がないのは、流石異界の騎士といったところか。アリッサは新緑のような綺麗な瞳を怒らせて罵声を放つ。 

「おっ、お前ぇぇ、なんで白い服なんて着ているんだ!!バレバレじゃないか、駄目駄目じゃないか!!!」
「やかましいわっ!
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