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王道を走れば:幻想にて
第一章、その2:三者仲良く...
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..矢を素手で掴むとは...矢張り、貴方は本物であるらしい。先程の無礼をお許しください、クマ殿。そして重ねて申し訳ありませんが、来訪して早々貴方を頼る事に成ります。本来なら私とクマ殿、二人力を合わせて敵に当たる筈だったのですが...」
「おいっ、無理矢理俺を連れて来て足手まとい呼ばわりか!?確かに今の俺の状態じゃそうだけど、貴女がそれを言うか!?」
「...すまん、この通りだ」

 押し倒された状態で怒声を放つ慧卓に、申し訳無さそうにアリッサは頭を下げた。慧卓は怒りを表情に顕にしながらも、それを前面に出さずに取り繕う。押し倒したアリッサから離れようと起き上がりつつ、彼は言う。

「...納得できませんよ、いきなり頭を下げられても!」
「怒るのは後よ、慧卓君。今私達は命の危機に瀕しているんだから」
「はっ、危機ですって、熊美さん!?あんなの、どうせ唯の玩具だーーー」

 瞬間、火矢の第二斉射が木々の間を駆け抜けた。顔を上げかけた慧卓の顔の直ぐ横、樹木のごつごつとした樹皮に火矢が突き刺さった。矢がぷるぷると震えて、火がもやもやと揺れる。突然、眼前に出現した威圧的な炎を目にして慧卓は瞠目し、急に生真面目な表情をして再びアリッサに顔を寄せた。

「如何なさいます、お姉様」
「あ、ああ、そうだな...(こいつ、環境に対する適応力が凄まじいな)。豪傑として腕を鳴らしたクマ殿が先陣を切って敵を強襲。察するに、君は何かしら武術を修めている様子でもない。なればその郷愁の隙に私が君と共に教会の下に在る地下道を通じて此処を離れ、近隣の村へと逃げ込もう。流石に賊徒共も兵士が詰める村までは追ってはこないさ」
「概要は分かったわ。私は何時まで戦えばいいかしら?」
「僅かの間で構いません。私達が教会に逃げ込んで幾許か経ったら、頃合を見てクマ殿は教会右方へとお逃げ下さい、別の入り口があります。墓地に備えられた井戸の横です」
「死者の寝台に生者の逃げ道を作るとはね、中々欲深いじゃない」

 熊美のからかうような口振りに、アリッサは複雑な表情を浮かべた。
 其の時、教会側の方向より迫り来る幾つかの野蛮な声を耳にする。目を凝らして態々確認せずとも見当がつく。その野蛮な声色は紛れもない害意と、剥き出しの戦意が易々と滲んで出ている。殺意を持って此方に火矢を放った者達だ。枯葉と折れ木の絨毯を踏み躙り、一歩一歩、己が見定めた獲物へと近付いていく。

「じゃぁ、そろそろ行ってくるわね。幸運を、アリッサちゃん」
「ちゃっ、ちゃん付けは止めて下さい!...御武運を、豪刃殿っ!!」

 熊美は単純な男女の境を越えて共通する、頼りげのある精悍な笑みを浮かべ、身を低く屈めて草むらの茂みに己を隠しながら、野蛮な者達へと向かっていった。
 それを確認した後にアリッサは慧
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