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ドリトル先生と京都の狐
第六幕その二
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「今は」
「よいことじゃ。ではな」
「はい、それではですね」
「今の仕事を励まれることじゃ」
「僕もそうしていこうと思っています」
「仕事に励まれよ」
 今の様にというのです。
「頑張るのじゃ」
「わかりました、それでは」
 こうしたお話をするのでした、そしてです。
 そのお話の中でもお薬を作る先生でした、すると薬膳用の鉢の中で綺麗な緑色のお薬が出来上がりました。長老はそのお薬を見て言いました。
「これで完成じゃよ」
「ではこのお薬をお母さんに差し上げれば」
「胸の病は治るぞ」
 結核、それがだというのです。
「だからな」
「はい、今すぐ持って行って」
 こうしてでした、先生はすぐにでした。
 今もお布団の中で横たわっているお母さん狐のところに向かいました。お母さん狐は娘狐に枕元で正座で座ってもらっています。そのうえで人間の姿で寝ています。
 ですが先生がお薬を持って来てくれたのを見てです、笑顔で言うのでした。
「先生、作ってくれたんですね」
「はい、それではこのお薬を飲んで下さい」
「そうすればですね」
「胸の病は治ります」
 先生は明るい笑顔でお母さん狐に答えました。
「ですから」
「それで、ですね」
「そうです、すぐに飲んで下さい」
「この薬を飲めば労咳なぞ一発で治るぞ」 
 先生の左隣にいる長老もこうお母さん狐に言います、ですがそれだけでなくです。
 そのうえで、です。こうも言うのでした。
「すぐに元気になるのじゃ」
「はい、それでは」
「元気になって母娘で楽しく過ごすのじゃぞ」
 長老はお母さん狐に優しく言います、そしてなのでした。
 先生はお母さん狐にそのお薬を差し出しました、お母さんも受け取ってです。
 すぐに飲みました、すると顔色がみるみるうちによくなって。
 胸がすうっとしました、その感触を確かめてから言いました。
「本当に何か」
「治りましたか」
「これが霊薬の力なんですね」
「そうみたいです、僕もはじめて作ったお薬ですが」
「凄い効用ですね」
 結核が本当に一瞬で治ったのです。
「先生、有り難うございます」
「いえ、僕は」
 ここでも謙遜して言う先生でした、本当にとても謙虚な人です。
「何も」
「そう仰るのですね」
「そうです、ですから」
 お礼はいいというのです、そうしてなのでした。
 狐はお礼は言いませんでした、ですが無言で頭を深々と下げてから先生にあるものを差し出してきました。それは何かといいますと。
 お菓子です、先生はそのお菓子を見て狐に尋ねました。
「あれ、これは」
「はい、おたべです」
「京都のですね」
「そうです、京都のお菓子です」
 京都名物のお菓子です、おたべはよくお店でも売られています。
「母を助けて
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