第144話
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「あのねー、ミサカはそろそろ帰らないといけないの、ってミサカはミサカは残念なお知らせをしてみたり。」
「ま、時間が時間だからなぁ。」
上条としては、こういう子供はもう帰るべきだろうと考えていたのでちょっと安心だ。
「本当はもっと一緒にいたかったんだけど、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみたり。
ここで会ったのはたまたまだったんだけど、お礼をしたかったって気持ちは本当だし、ってミサカはミサカは心中を吐露してみる。」
打ち止めはおでこのゴーグルに両手をやった。
これもやってもらったしね、と彼女は言う。
「でも、あの人は心配すると思うんだ、ってミサカはミサカは思い出しながら先を続けてみたり。
あんまり遅いと今度はミサカの事を探すために街に出てくるかもしれないし、ミサカも迷惑とかかけたくないから、ってミサカはミサカは笑いながら言ってみる。」
ふうん、と上条は適当に相槌を打った。
誰だか知らないがその相手は良いヤツっぽそうだな、と漠然と感想を抱く。
「弱いんだよ。」
打ち止めは続けた。
「あの人はいっぱい傷ついて、手の中の物を守れなかったばかりか、それをすくっていた両手もボロボロになっちゃっているの、ってミサカはミサカは断片的に情報を伝えてみたり。
だからこれ以上は負担をかけたくないし、今度はミサカが守ってあげるんだ、ってミサカはミサカは打ち明けてみる。
「そっか。」
言っている事の意味を半分も理解できていないだろうが、上条は頷いた。
打ち止めの口調に偽りはない。
良いヤツっぽいんじゃない。
きっとソイツは、間違いなく良いヤツだ。
それだけを言って、打ち止めはばいばーい、と手を振って駆け去って行く。
上条はそれをしばらく見送った。
最終下刻時刻、つまり終電の時間が迫っているせいか、にわかに慌しくなり始めた地下街の人混みの中をすり抜けていく小さな身体は、あっという間に見えなくなった。
さて帰ろうか、と上条はきびすを返そうとした所で、ふと視界に見覚えのある人物を捉えた。
そこで、ようやく自分が何をしにここに来たのか思い出す。
『彼女』はこちらへ近づいてくる。
制理と話をした後、麻生は愛穂のマンションに向かって歩いていた。
時刻を見ると六時三〇分を過ぎていた。
打ち止めが見つかったのかはまだ分からない。
現状を理解しようと、愛穂に連絡しても全く通じない。
電話越しから聞こえるアナウンスを聞いて、考える。
(愛穂も地下街にいるのか?
なら、桔梗に連絡してみるか。)
桔梗の携帯に連絡しても、さっきと同じアナウンスが聞こえ
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