第十五話
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ョウキさんに尋ねた。
「えーっと……55階層だな……どうした、いきなり」
メールを確認したのだろう、ショウキさんの言った言葉は……残酷な事実を私に突きつけた。
第55階層。
それは、現在の最前線の層なのだから。
シリカが行っても、手伝いどころか案内も出来やしない。
「い、いえ……私の知ってる層なら案内でも出来るかと思って……」
無理やりに笑顔を作って、ショウキさんに微笑みかける。
……そもそも、どうして私はショウキさんと一緒に行きたいのだろうか。
終わらない疑問のループと、チクチクと痛む胸の痛みは解決しないまま、転移門に着いた。
そして、転移門に着いた直後。
ショウキさんが何かを思い出したかのように、「あ」という声を出した。
「そういやシリカ。フレンド登録しないか? せっかく知り合ったしさ」
ショウキさんのその一言に、そういえばフレンド登録していなかったことを思い出した。
……そんなことをしてる暇がなかったわけだが……
「は、はい! 喜んで!」
「別に喜ぶ必要は無いけどな……」
呆れ顔のショウキさんと、メニューを操作してフレンド登録をする。
これで、お互いにどこにいるか分かるようになるのと、メールを送れるようになった。
……あと、生きているかどうかも……
頭の中に出てきたイメージを、即座にブンブンと頭を振って消す。
メニューの操作が終わったショウキさんは、転移門に近づき、振り向いて笑った。
「また何かあったら、遠慮なく呼んでくれ。探し物があるなら見つけ出そう。
力が必要ならすぐに駆けつけよう。
――約束は守る。
それが傭兵《銀ノ月》だ」
そう言って、転移門に「転移! グランサム!」と、おそらくは55層の街の名を告げる。
「それじゃ、またな……ナイスな展開だったぜ?」
そう言い残したショウキさんは、光と共に消えていった……
『ピィ!』
やっぱり私はしょんぼりしていたようで、肩に乗ったピナが励ましの声を上げてくれた。
「頑張れ!」と言ってくれているようなその鳴き声に、私は気を取り直した。
「よし!……ありがとう、ピナ」
ショウキさんは、「また」と言ってくれたから、きっとまた会う機会がある。
だったら、今度会うときまでに強くなろう。
レベルだけじゃなく、あの人みたいに、心も。
今度は、私がショウキさんを助ける番だ。
そして、このなんだか良く分からない変な気持ちにも、決着をつけよう。
そうと決まれば……
「行こう、ピナ!」
現在時刻は13時……急いで準備すれば、簡単な狩り場なら一人で行ける。
ダンジョンに行くための準備をするため、私は道具屋へと駆け出した。
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