ワスレナグサ
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流李の病室に亞李鎖はいた。
そして掠れた声で
「約束破ったら針千本飲まないといけないんだよ・・・」
亞李鎖は流李の膝の上で泣き叫んだ。
流李にはどうすることもできず、そっと泣き叫ぶ亞李鎖の頭を撫でることしかできなかった。
散々泣き叫んだ亞李鎖の声が枯れてきたころ、一人の看護師が病室に来た。
「アリスちゃん・・・」
看護師が亞李鎖に呼びかける。
亞李鎖は枯れた声で、今にも消えてしまいそうな声で答えた。
「アリスちゃん・・・これ、直弥さんの病室を整理していたとき、出てきたの」
看護師から渡されたのは一冊の本と手紙。
「・・・ありがと、看護師さん」
「いいえ・・・、アリスちゃん」
「・・・ん?」
「、直弥さん、いつも言ってたわ・・・『アリスが来るまで、まだ逝けないよ』って」
亞李鎖は静かに看護師の次の言葉を待っていた。
「きっとね直弥さん、もうすぐ死んじゃうって、わかってたのよだからその手紙を書いたんだと思うわ。
最期に言ってたわ、『笑顔のアリスは天使みたいだったよ』って」
「うぅっ・・・」
もう涙なんて出てこないと思っていた瞳からまた涙が溢れ出てくる。
最後に看護師は、直弥さんのこと忘れないであげてねと言い残し病室を出て行った。
再び2人きりになった病室はしばらく会話がなかった。
流李が亞李鎖に話かけようとしたとき
「あぁ、やっぱりなおちゃん、ちゃんと約束守ってくれた」
「えぇ、直弥さんは約束破るような人じゃないですもん」
「うんっ・・・私なおちゃんのそういうとこ好きだったんだもん」
「えぇ、知ってます。」
「うぅっ・・・なおちゃんと絵本読みたかったの・・・」
「・・・」
「一緒に絵本読んで・・・絵のお話しして・・・」
「アリス・・・」
「・・・え?・・・」
「直弥さんね・・・画家さんになりたかったんだって」
「・・・ぅん・・・」
「直弥さん、言ってたんだ
_____
『流李さん、俺ね画家になりたいんだ』
『画家、ですか?』
『あぁ、画家になってたくさんの人の笑顔を描くんだ。アリスみたいな、まぶしい笑顔を』
『いいじゃないですか。直弥さんは絵がとてもお上手ですしたくさんの人の笑顔を描くなんて素敵です』
『ははっありがとう・・・流李さん・・・俺ね・・・
____画家になったら一番にアリスを描くよ。』_______
って」
「うぅっ・・・描いてほしかったなぁ〜」
泣きながら彼女は笑った。
天使みたいな笑顔で。
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