生命の木
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その後、緑川麗那は、はたちまでに七人の子を産んだ。みな女の子だった。勉強したいと言って留学したカナダで、麗那は恋に落ち、緑川から離れることになった。このことはレナータの母親を藤原の家にも思い出させたが、緑川と麗那との話は着いていたらしく、既に農家として成功していた緑川が子供を育てることにし、先方の男性とも相談し合っての結論ということだったため、ことは荒れずに収まった。麗那とその夫とは、毎年、冬と夏には緑川を訪れた。三井を伴ってくることさえ増えていった。
このあいだに、大学を出たばかりのズザンナに緑川は結婚を申し込んでいた。この年までズザンナは、言わば緑川以外の男を知らなかった。ズザンナは緑川の昔の手紙をまだ持っていて、お返事遅くなったけどと言って承諾した。
ズザンナは緑川とのあいだにたちまち五人の子を儲けた。一番下の二人だけが男の子だった。全く家庭の人となり、十二人の子を育てているズザンナを、妻であっても緑川はやはり尊敬し続けた。ズザンナの高貴な人柄を十二人の子供はそれぞれに受け継いでいった。
人間が苦手な緑川の家は大家族になった。女の子のことも四六時中で、こだわる意味がなくなった。離れに自分の小屋を建てたら、蜂がいくつも巣を作った。ここには緑川とズザンナしか入れない。二人は「お隣さん」の羽音のする中で、毎日手を取り合って祈りを欠かすことがなかった。
完
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