第七話
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走り抜けるんだ。」
日本刀をアイテムストレージに入れ、屈伸をするショウキさん。
「こんな夜中じゃ…」
「大丈夫、ナイスな展開じゃないか!…ちょっと、おんぶさせてくれない?」
「お、おんぶ!?」
なんでおんぶ!?
「シリカ。君がこの方法を試していないってことは、君には出来ないってことだろ?」
「それは…そうですけど…」
…仕方ない…ピナの為に、恥ずかしいなんて言ってる場合じゃない…
ピナのため、ピナのため、ピナのため…
と、脳内再生しながら、ショウキさんの肩に手を乗せる。
これで俗に言う、『おんぶ』の完成だ。
−恥ずかしい…けど、なんか…安心する…
シリカは一人っ子だが、なんだか兄のような感じを感じていた。
「じゃ…しっかり捕まってろよ!」
そう言って、ショウキさんは走る。
−速い!
SAOを初めて以来、一番速いと思う速度でショウキさんは走る。
しっかり捕まっていないと、振り落とされる…!
「林の中、行くぞ!」
自分がさっき挫折した、林の中を真っすぐ進む。
木がかする。
猪がかする。
狼がかする。
元々、ジェットコースターのような絶叫マシンが苦手なシリカは、たまらず叫んでいた。
「キャァァァァァァ!」
並みのジェットコースターより怖い。
…もしかして。
「ショウキさん!もしかして、わざと危険な道選んでませんか!?」
「…バレたか。」
「バレたかじゃ…」
ドランクエイプの攻撃がかする。
「こっちの方がスリリングさ!」
「安全運転でお願いしますぅぅぅぅ!」
しかし。ショウキさんはやはり危険な道を行く。
「イィィィィヤッホォォォォォッ!」
「キャァァァァァァ!」
別の意味で叫び続ける男女が、森を駆け抜けて行った。
余談だが。
《叫びながら森を駆け抜けるモンスター》
として、この階層の怪談話として語り継がれることとなった。
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