第七話
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んだか悪い気がしたけど、シリカもお金に余裕がある訳でもない。
男の人の言葉に甘えることにした。
「そう言えば、お名前は?」
「ん、ああ。そういや、言ってなかったな。俺の名前は、《ショウキ》だ。よろしくな。」
男の人−ショウキさん−が手を差し伸べてくる。
「知ってたみたいだけど、私の名前は、《シリカ》です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
ショウキさんと握手を交わす。
手から、じんわりとあったかいものが広がっていく。
久しぶりに、人の完璧な優しさに触れたからだろうか。
気恥ずかしくて、握手した後、ちょっと顔を赤らめてしまった。
−SAOは、感情表現がオーバーなんだから…
赤面したのをSAOのシステムのせいにしてみた。
「じゃ、ピナを助ける為に頑張りますか!」
「はい!」
「と、言いたいところなんだけど…」
ショウキさんは、言いにくいことがあるかのように、髪の毛を掻く。
「わ、笑わないで聞いてくれるかな…」
「?…はい。」
一体なんだろう。
「この《迷いの森》って、どうやって出るんだ?」
−なんで私は、この人に怖いなんて印象を持ったんだろう…?
そう考えると、やはり吹き出してしまった。
「わっ…笑わないって言ったじゃないか!」
そのリアクションが更に笑いを誘う。
−うん。きっとショウキさんは良い人だ。
一度は死にそうになった命だ、ピナを生き返らせる為に、ショウキさんを信じよう。
なんとか笑いを堪える。
「ショウキさん、そんなことも知らないで、この森に入って来たんですか?」
「…忘れたんだ。」
ショウキさんがそっぽを向く。
…また笑っちゃだめだ…
「ええっと、街で売ってる地図を持っていれば、簡単に出られるんですけど…」
「…持ってない。」
「…ですよね。」
地図持ってるのに迷いはしない。
シリカも、地図を持っているのは一緒に狩りをしていたギルド、《ミッシングリンク》のリーダーだけだ。
「後は、ただひたすら転移しまくるとか…」
「それをやってここにいるんだよな、俺たち。」
「…はい。」
と、なると、後はもうひとつの方法しかない。
「ここの森って、1分で隣のエリアが変わるんですよ。」
「ほう。」
「だから、1分以内に森を走り抜ければ…」
これが一番ムチャクチャだ。
夜遅くの森で、いつモンスターが出て来るか分からない。
しかも、曲がりくねった道を視界の悪い中…いや、良くても…走り抜けるなど不可能だ。
「よし、それだ。」
「それ、って…」
嫌な予感がする。
「今シリカが言ったろ?
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