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乱世の確率事象改変
彼らの名は
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でも殺す奴等だ。

 どうにか押しのけようともがくも、大の男三人を外すのは、さすがの彼女も倒れたままでは出来なかった。
 ただ、彼女は少し見誤っていた。己が部下達を。
 文醜の部下はすぐさま、副長の攻撃を身体で受け止めるモノと、彼女を助けるモノに分かれていた。
 覆いかぶさる人間の急所を狙うのは容易く、剣を首に突き刺して即死させ、彼女の身体の上から引きはがした。

「大丈夫ですか文醜様!」
「……ごめん、助かった」

 礼を言いながら急いで立ち上がり、徐晃隊の連撃をいなしていく文醜はその後ろに異常なモノを見た。

――火の回りが加速してやがる。

 既に橋の五分の一まで広がる火がそこにあった。
 徐晃隊は松やにに浸した布を一度に燃やす事無く、幾つかに分けて配置していたのだった。さらには、一人だけ最後方にいた徐晃隊員が燃えやすい枯草や木の枝、松の葉を延々と運んでいた。
 舌打ちを一つ。このままでは、馬を引き連れては抜けられない。動物は火を恐れる。短い範囲ならある程度は怯えを抑えられようとも、広くなればなる程に不可能。秋斗は大きな戦闘と長い逃避行で疲れていようとも名馬に乗っている為に、馬がいなければ追いつく事は出来ない。万が一、橋を越えてから何処かで馬を手に入れられる可能性もあるが、厳しいだろう。

――くそっ! 徐晃を捕まえられなきゃあたいの負けだ! でも、生きてなきゃ姫も斗詩も守れねぇ!

 文醜は悔しさを堪えながら決断を下す。

「橋から退け! 殲滅してたら間に合わない! あたいが後ろを守る!」

 ゆっくりと、徐晃隊の猛攻をどうにか抑えながら文醜達は下がっていく。ただ、徐晃隊は力を溜めるように、本気での攻勢に出てはいなかった。
 じわじわと追いすがり、なるだけ時間と意識を向けさせるように厭らしい攻撃を繰り返していた。

「未来の御大将の敵を一人でも減らせ! 野郎ども、攻撃主体、決死突撃!」

 幾分かの時間が経ち、敵が橋の入り口まで戻る寸前で野太い副長の声が響き渡り、徐晃隊の動きが変わる。
 一人でも多くを殺す為のその動きは、己が全てを賭けて行われるモノ。
 攻撃を受けようとも、死の瞬間まで敵を屠る為に前へと進む。もはや彼らに退路は無い故に。
 一人、また一人と命を投げ出していく。紅い華を夕闇に咲かせてその命を零していく。
 ただ、副長を含めて最古参の十一人だけが橋の上に残っていた。何も言わずとも、彼らは最後まで橋を守る為に残ったのだった。
 もし、文醜一人が突撃してきて抜けられたら、彼らにとっては負けなのだ。だから橋の上で最後の最後まで壁となる。
 反対側で火の元をくべていた一人は炎の中を駆け抜けてその場に来て、火傷を意にも返さず橋の中ごろに倒れていた幾多の死体を積み上げ、少ない時間
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