Episode4 それぞれの想い
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しましょう!」
リズさんは、逃げるように少し離れた位置まで移動し、腰を下ろした。その際、顔が真っ赤だった。
(よっぽど恥ずかしかったのかな?いや、それだけじゃない……)
この洞窟に入ってから、ずっと同じような感じだ。となると、原因はやはり、あれだと当たりをつける。
(はぁ、慣れないことは言うものじゃなかったかな……。それにしても、まだ引きずってたのかな?)
今更、後悔してもしょうがないし、過ぎてしまったことはどうしようもない。
(とにかく、今の状態のまま、戦闘を行うのは得策じゃない)
並列思考の持ち主でない限り、他のことを考えながらの戦闘は危険極まりない。何度か戦闘を行って平気だったが、これから先その保障はどこにもないからだ。
(やはり、ここで少し休憩をとって正解かな。少しだけど、ほとぼりが冷めてくれればいいんだけど……)
とりあえず、周囲を警戒することにする。安地とはいえ、ダンジョン内ということに変わりはない。緊張のし過ぎとか、肩に力が入りすぎだとか、色々言われるかもしれないが、警戒するに越したことはないと思う。
(それにしても、今の状態だと接近戦は、この辺が限界か……)
リズさんの鍛えた武器の恩恵で、ダメージを少しずつ与えることができているが、これより上の階層だと、そうはいかないだろうと思う。それなりに、《短剣スキル》を上げてはいるが、メインは弓だ。僕が弓使いという噂が広まるのをなるべく防ぐ為、今は短剣を利用しているし、弓を使用するとき以外は、この隠蔽と識別阻害の効果の高いフード付マントを羽織っている。
(相手の動きの先読みは、まだまだ通用するけど……)
これについては、弓も短剣では対処の仕方は変わるけど、根本的な部分では変わらない。しかし、いくら今までの戦闘経験から戦いをコントロールしても、レベルという壁を越えるのは非常に難しい。これは、レベル制というシステムの檻の中で生きる僕らに与えられた重石であり、非常に分かりやすい、いわば階級社会である。
(何事もなく、無事に終わることに越したことはないけど、いざという時のために、弓を使うことも考えておこう)
《射撃》ほどではないが、弓も十分に強力なエクストラスキルの一つだ。リズさんに万が一のことがあった時、僕の都合を優先させるわけにはいかない。そのときは、カードを切るつもりだ。
(それを切っても、まだ手札には切り札が残っているしね)
今日初めて会った赤の他人だとしても、僕から助けると言い出した以上、背に腹はかえられない。そう決意し、辺りの警戒を少し強めた。それから、お互い無言のまま、十五分くらい経った。
「それそろ、行きましょう」
「ええ、そうね」
リズさんが立ち上がり、再び
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ