伍_週刊三途之川
五話
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鬼灯が食事を終える頃には、ピーチ・マキがゲスト出演していたトーク番組はエンディングを迎えていた。お決まりの、新しくリリースされるCDの告知をしている。
ミヤコはすっかり食器も片付けていたがさっさと立ち去るのも何なので、お茶を飲んだりテレビを見たりして鬼灯が食べ終わるまでずっとその席にいた。
ふと、鬼灯は懐から黒い小さなメモ帳を取り出し、パラパラとページを捲る。
「あっ、そういえば」
そして何か思い出したようだった。
「どうかしましたか?」
「ああ、明日の午後なんですが、特番の収録でテレビ局へ行くことを思い出して。危うく忘れるところでした」
どうやらそのメモ帳は、彼のスケジュール帳のようだ。
「鬼灯さん、タレントさんみたいやなあ」
「いえいえ。そんな立派なものではありませんよ」
「鬼灯さんがいないんやったら、明日の午後のわたしの仕事はまた巻物整理か掃除かー。」
ミヤコは伸びをし、その腕を頭の後ろで組むと、椅子の背もたれに体重を預けながら少々つまらなさそうに言った。しかしすぐに姿勢を正す。
「鬼灯さん、わたしも行ってみたいんやけど!」
ミヤコの一言に、鬼灯はスケジュール帳から目を離した。
「いやいや、そんな『うわー、面倒臭い』みたいな顔しないでくださいよ」
「・・・・・・思ったことが全て顔に出てしまう」
「ほんまにメンドくさいんですか!」
「偶然にもタレントさんを見かけたからって、、キャーキャー言わないでくださいよ」
鬼灯はそう言いながら、体の前で腕を組む。
ミヤコは承知した。第一、地獄に知っている有名人なんていない。
強いて言えば、ピーチ・マキくらいだろう。
そして翌日の午後、ミヤコは鬼灯と共にテレビ局へ同行した。
念のために閻魔大王にも確認をしたところ『鬼灯君がいいならいいよ』とあっさり了承を得ることができた。
たまたまそこにいたシロは『俺も行きたい』と鬼灯の足にピョンピョンと飛び付いていたが、不喜処地獄での仕事がまだまだ残っているようで、あっさり柿助とルリオに連れ戻されていた。
「特番って、どんな内容のですか?」
「『巷で密かなブーム、金魚草にズームアップ!』という、ある情報番組のトレンドを紹介するコーナーに出演します」
そうか。巷で密かなブームなんだ、金魚草。
ミヤコはしみじみとそう思った。
まあ、コンテストがあったり人気のアイドルが大使に任命されるくらいだから、そこそこの知名度はあるのだろう。
「収録はそれほど長くはかからないと思いますが、まあ大人しくしててください」
「子供じゃないんですから、大丈夫ですよ!」
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