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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十四話 暗闘
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「戦争の継続か……。ヤン、フェザーンの属領化を望んでいるのは政府では無く主戦派という事は考えられないか。表向きは経済的権益を主張しつつ真の狙いは帝国領侵攻……」
俺の指摘にヤンが“なるほど”と頷いた。
『可能性は有るね。政府、或いは産業界の一部がそれに同調しているのかもしれない。だとすればトリューニヒト議長も思うように身動きが出来ない可能性は有る。劣悪遺伝子排除法の廃法は帝国からトリューニヒト議長への援護射撃か。こっちが本筋かな?』
そうかもしれない、首を傾げるヤンを見ながらそう思った。フェザーンの扱いが今一つはっきりしないのもその所為だろう。まるで三次元チェスだな。同盟、帝国が一手一手相手の動きを確かめながら手を進めている。ヴァレンシュタインは如何考えているかな。俺やヤンが気付いた点に奴が気付いていないとは思えない。政府から状況報告が無いとも思えん。
単純ではないな。三次元チェスと違う部分が有るとすれば奴の存在だろう。個人でありながら何処かで同盟、帝国の動きに絡んでいる。そして十三個艦隊を率いてフェザーンに居る。まるで帝国、同盟の動きを見定めようとしているようにも見える。同盟、帝国、そして主戦派、いずれも奴を無視できんはずだ。
受信ランプが点滅している。
「ヤン、通信が入った。一旦保留にするぞ」
『こっちもだよ、ワイドボーン』
お互いまじまじと顔を見合った。偶然か、それとも必然か。ヤンとの通信を保留にしてから受信ボタンを押下する。映ったのは副官のスールズカリッター大尉だった。総司令部から至急ハトホルに出頭するようにと連絡が有ったようだ。ヤンも同じ話だった。俺達二人だけか、それとも艦隊司令官全員にか……。
ハトホルに出頭したのは俺とヤンだけだった。妙な事に艦橋にヴァレンシュタインは居ない。訝しんでるとミハマ中佐が“総司令官代理は自室で提督方を御待ちです”と言って案内してくれた。どうやら今日は訪問客が多いらしい、中佐の話ではほんの少し前までパエッタ中将がハトホルに来ていたようだ。どんな話をしたのやら、さぞかし居心地が悪かっただろう。
彼女に礼を言って部屋の中に入る。先客が居た、ビュコック元帥とボロディン元帥だった。三人でソファーに座っている。ビュコック元帥がヴァレンシュタインと並んで座りその正面にボロディン元帥が居た。ヴァレンシュタインは俺達を見ると“こちらへ”と言って前を、ボロディン元帥の隣を指した。ヤンと顔を見合わせた、嫌な予感がしたが断ることは出来ない。“失礼します”と言ってボロディン元帥の隣に座った。
「第一艦隊の状態は如何です?」
「補給は済んでいます。先の会戦で破損した艦の修理が済んでいませんがそれを除けば何時でも艦隊を動かす事は可能です」
俺が答えるとヴァレンシュタインが視線をヤンに向
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