プロローグ:雪化粧の修道院 ※エロ注意
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こえていた。性行為の強烈で淫猥な臭いが一気に襲い掛かり、彼の感覚を麻痺させるかのようだ。咥内に至っては、散々に絡み合った舌と舌により唾液の粘着質な無味しかしない。そして全身に伝わる柔らかな触感。胸板に圧された二房の果実のふくよかな抱き心地、その頂点で勃起している乳首の尖り、頚部に回された腕の冷ややかさ、下腹部の温かさ、そして何より陰茎を覆う膣の複雑で淫らな感触。慧卓の五感が全て、激烈な性行為の中で研ぎ澄まされ、その頂点で極められた。
「ああ......いっぱいだぁぁ...ケイタクでいっぱいだぁ...」
「はぁ、はぁ、よっと...」
「あっ...」
先程までの激しさの割には余りにも呆気なく、慧卓は膣から男根を抜き去った。途端に溢れかえった精液が膣口から流れ出す。流れ出す精液の滴を呆然としてキーラが見詰めていた。最早彼らの下部にあるシーツは穢れに穢れ、元の純白に淫らな染みを色濃く残してしまっている。
慧卓はキーラの横に身体を倒す。行為の時の激動が消え去ったお陰で、二人は静謐を湛えて互いを見詰める事が出来た。
「ちょっと、休憩な...」
「うん、分かった。ちゅっ、ちゅっ。でも、休んだらまた...ね?」
「あぁ、いっぱい、しような」
「うん。えへへ...」
合間に可愛らしく口付けを挟みつつ、キーラは可憐にはにかんだ。普段の清廉で生真面目な修道女の笑みではなく、一人の恋するうら若き少女としての朗らかで邪気の無い笑みを浮かべる。其処に一分の信仰心も無ければ、一分の淫蕩さも無い。唯、胸を安らげる安心と純真な愛情だけが存在していた。
次の性交までの束の間の休息、天使の如き笑みがあればその効果は幾倍にもなるであろう。確信めいた思いを胸に抱きつつ、慧卓は安らかな笑みを浮かべてキーラを抱き寄せ、その頭を優しく撫でる。表情を更に崩してキーラが慧卓に抱きついた。
修道院の夜は更け、其処に住まう者の夜もまた更けていく。朝方になれば大人達は身体を叩き起こして朝の支度をし、子供達はうんうんと唸りながらも修行に励むために気を張る事であろう。ありふれた日常は世界の中でひっそりと身を潜めている。だからこそ大切であり、愛おしい。明日もまた、世界のどこかで愛の囀りが聞こえる事であろう。それを壊す非日常をひっそりと傍らに置いて。
青年、御条慧卓は愛するものを腕に抱いて夢心地となりつつ、この世界への来訪と、此処に至るまでの激動たる生の流れに思いを馳せていった。
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