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王道を走れば:幻想にて
プロローグ:雪化粧の修道院 ※エロ注意
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んでいない、は神秘的な魔力の光を浴びて輝いている目を室内に走らせる。王道を走る黒髪のショーットカットをした男は動き易いように見繕った革作りの脚絆と漆黒の布の衣服を着ており、其の上には細微まできめ細かに繕われた純白のマントを纏っていた。背中には葡萄の様に垂下して揺れる黄色の樫の花の紋章が描かれている。
 樫の花は王国では勇気と名誉の象徴。その紋章をつけたマントを羽織る事は、偏に名誉を重んじる騎士や勇敢さを取り違えぬ戦士らにとって、最高峰の誉れである。そのマントを自然体に靡かせる男は、街を練り歩けば男らの羨望と尊敬の瞳を、女性らの親愛と恋慕の瞳を一身に受ける事であろう。
 男は余裕綽々といった様子で高慢な笑みを浮かべた少年に目をつける。彼の手から放たれる魔力の光は優雅な円を描いているが、所々で火花のような閃光が走る。魔力を詰め込み過ぎている証左だ。

「ジャレド、注意しろ。魔力過多で魔方陣が解けそうになっているぞ。手加減をしておけ」
「先生、ご心配には及びませんよ...!不肖ジャレド=サンドウィッチ、魔術の名門生まれの一男子として恥ずべき事を起こしたりはしません。この陣の解けは、私の余りある実力に魔方陣が恐れ戦いたためであります!心配の必要など万に一つもありません!!」
「ようは魔方陣の構築が未熟って事だろうが...そんなんだから先日、教室内のカーテンを全部燃やす羽目になったんだろう?念には念を入れて、余った魔力で魔法陣の修繕をしておけ」

 ぼろぼろとなったカーテンがこれ唯の糸切れになる日など来ないで欲しい。そう一抹の希望を抱きつつ、男は室内を巡って若く未熟な魔道士の卵に声を掛けていく。
 そんな中、部屋の扉を開け放ち、ローブ姿の一人の男が顔を覗かせた。ざっくばらんに赤髪が切られている。歳は二十と半ばを越えていようか、紳士服が似合いそうな精悍な顔立ちと逞しい体躯の持ち主であり、うら若い少女の一人が彼を見て頬を赤く染めた。

「慧卓、ちょっといいかよ?」
「ん、ジェスロか。イルミナティ|(見習い魔術士)諸君、少しばかり席を外すが、確りと術式を編み込んでおくように」
『はーい!』

 慧卓とよばれた男は室内を出でてジェスロについていく。部屋の光が扉で隔絶され、扉の隙間からささやかに毀れる程度となった。通路に出て教室から少し距離を開けると、慧卓は尋ねた。  

「用ってなんだ?」
「高院の若い先生方だよ。またお前の勧誘に来てるぜ。応接間で待たせているけど、どうするよ?」
「はぁ...あの人達も結構執心だよな。ちょっと行ってくる」

 溜息混じりに慧卓は通路の奥へと歩き去っていく。一人残された形のジョゼは通路の壁に寄り掛かると、慧卓が向かった側とは反対側、通路の奥に調理室から鼻孔を刺激する芳しい臭いが漂ってきた。ジェスロは鼻を
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