他が為の想い
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でももう無理です。存在定着率の低い今の時点で『妲己姉さまの尻尾』を使って武力を上げると……世界側に認識されますから。
この二重雑種でしか収束点は越えられませんし、暴走のせいで『貴人ちゃんの弦』も限界、この外史はこれ以上の事象干渉ループに耐えられませんので、今回の事象で変えられなければ次の手を打つしかないでしょう。
幸いな事に『実数外史』への介入は始まってます。天の御使いのせいで制限された分化は、天の御使いを否定して変えてしまいましょうか。
この『虚数外史』……“天の御使いがいなければ、という実数外史内の人間の想念で生まれた”……この外史で変えてしまえなければ……ね。
さようなら、ただの徐公明。そしてようこそ、虚数外史に於ける矛盾した天の御使い。これからも掻き回して踊ってください」
少女が言い切ると同時にモニターの下に文字が流れていく。
『虚数外史適性者“徐晃”
妲己の尻尾解放、一時的な武力制限突破 外史共通上限、飛将軍呂布に移行しました
存在定着率エラー、妲己の尻尾永久喪失 殲滅以降は通常の武力に固定されます
外史管理上位個体“ジョカシステム”が適性者を観測、徐晃が天の御使いと認識されました』
じっと見つめていた少女は小さくため息を吐いた。
「全く……貂蝉達が北郷一刀を幸せにするために呉の曹操を大陸から逃がすからこんな事になったんです。蜀にしても、五胡なんて攻めてこずに曹操と血みどろの戦争するはずだったんですよ。そのせいで世界のルールが固定されてしまったんです。
それに北郷が幸せになる為に、なんてことをしたら正史の人間に影響を与えすぎるから外史の分化が偏るんですよ。北郷がいなければ恋姫外史と認めないなんて考える人間も出ますし、どれだけの虚数外史が紡がれずに否定されて途中で壊れて来たか分かって欲しいモノです。
無限大の可能性が北郷のおかげで確立されたのに、残滓である他の北郷のせいで実数固定制限されていくなんて最悪です」
心底面倒くさいというようにモニターを見やる。
次にはっとした少女は、
「そういえば、こんな状態で解放したら何が起こるか分かりません。もしかしたら過度な重圧で精神的に不安定になると暴走時のように『弦』が不安定になって弾き出されるかもしれませんね。そうなれば――」
ぶつぶつと自身の中で予測を組み立てて行った。
†
副長の心に来るのは純粋な恐怖だった。
己が掲げる主は『人』であったはずなのだ。だというのに、あれでは本物の化け物ではないか、と。
紙屑を散らすように兵が弾き飛ばされ、一太刀毎に五人、鎧ごと切り捨てられていく。
蹴りを放てば敵の身体は人のカタチを外れ、拳を叩き込めばその背を突き抜ける。
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