第四章
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第四章
「若しくはその越後屋をどうにかするかじゃな」
「ですがあのお店は」
「迂闊には手を出せぬか」
「お店の中にはああした人達が大勢います」
さっきのゴロツキ達がだ。それこそうじゃうじゃといるというのだ。
「ですからとても」
「何だ、それなら造作もない」
しかしだ。駄右衛門はだ。その話を聞いてもだ。
平然とした様子でだ。こうおきよに返すだけだった。
「ではこの話は簡単に終わる」
「ですが奉行所も迂闊に手を出せない程で」
「わし等は奉行所とは違う。いや」
「いや?」
「奉行所なぞ何だというのじゃ」
笑ってだ。こんなことまで言うのであった。
「まあ見ておれ。乗りかかった舟じゃ、この話何とかしよう」
「ああした小者は嫌いなんでな」
「やるならでかいことをしてこそじゃ」
「それならこの話は絶対に」
「奴等を叩きのめさないといけないな」
四人もこう言ってだ。そのうえでだ。駄右衛門にそれぞれ言うのである。
「それなら頭、その越後屋に乗り込んで」
「奴等を叩きのめしてやろうぜ」
「音に聞こえたこの腕を奴等にもな」
「見せてやればいいさ」
「その通りではその越後屋に行くとしよう」
駄右衛門も応えてだ。そのうえでだ。
おきよに店の場所を聞いた。それで彼女にはこう言うのだった。
「御前さんはもう心配することはない」
「大丈夫なのですか?」
「その店はあれじゃな。おかみの定めたもの以上に利子をふっかけておるのじゃろう」
「それがまたとんでもないもので」
「そうじゃな。では話はより簡単じゃ」
駄右衛門は確かな笑みで言うのだった。
「まあ見ておれ。この話はすぐに終わるわ」
「左様ですか」
「それを待っておれ」
こう話してだった。
五人は夜にその越後屋に向かった。見れば店構えはかなりのものだ。
その店を見てだ。赤星が言った。
「これは相当悪どいことをしてきてるな」
「そうだろうな」
忠信が赤星のその言葉に応えた。
「あの娘さんの言う通りだろうな」
「じゃあ遠慮はいらないな」
赤星は見せ構えを見ながら話す。
「それじゃあな」
「では行くぞ」
駄右衛門が言ってだった。そのうえで。
屋敷の中にだ。裏手の壁から入る。そうして忍び込んだ。
屋敷の中の一室にだ。いい服を着ているが如何にも悪そうな老人がいた。その老人が金閣寺でおきよに絡んでいたゴロツキ達に言っていた。
「まあいい」
「すいやせん、本当に」
「しくじりやした」
「証文はこっちにあるんだ」
だからいいというのだ。
「何時でもそれを突き付けられるからな」
「じゃあ明日にですね」
「明日長屋に行ってあの娘を売り飛ばしやしょう」
「上玉だ。高く売れますよ」
「ああ、そうするぞ」
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