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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
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「だ〜か〜ら〜、違います〜!」

 にまーっと笑い、わたわたと慌てて嚆矢のお姫様抱っこから降りた飾利を弄る彼女。その、背後から。

「あれ、対馬さん。また会いましたね」

 と、苦笑した美琴の姿があった。正直、この辺りで常盤台の制服は浮いて見えた。

「珍しいな、御坂。ここ、量販店だぞ?」
「佐天さんといい、対馬さんといい……私が量販店使っちゃいけないとでも?」

 むくれながらの言葉に、成る程、言われてみればその通りだと納得する。お嬢様が量販店を使ってはいけないなんて決まりはない。
 いや、そもそもそれは、勝手に決められた固定観念なのだが。しかしまぁ、庶民派なお嬢様な事である。

「理解した。けど、ちょっと初春ちゃんの具合が悪いから今は勘弁……」
「あうあう〜!」
「あはは〜、初春は可愛いなぁ〜。ほら、今日の淡いピンクの水玉柄は対馬さんに見て貰った?」
「はうっ?!」

 と、いきなり飾利のスカートを捲り上げた涙子。露になったそれは、嚆矢や美琴はおろか、辺りの衆目にまで晒された。

「〜〜〜〜!!」

 元々風邪気味で赤い顔を、更に真っ赤に染めて。飾利は力の限り叫んだ。

「――――佐天さんのばか〜〜〜!!」


………………
…………
……


 場所は、衣服量販店『セブンスミスト』。そこまで、『彼』は『彼ら』の後を付けていた。
 目測は単純明瞭、『兎に角目立っている風紀委員』。それに、彼らは十二分に条件を満たしていた。

 ニタリと卑屈な笑みを張り付け、蛙の縫いぐるみに『スプーン』を仕込む。無論、それは――――『アルミニウム』製だ。

「ふ〜んふふ〜ん♪」
「…………」

 と、目に入ったのは小学生に届くかどうかという幼女。それに、彼は――――

「うん、分かった、おにーちゃん!」

 薄ら笑いを浮かべながら、『スプーン』を仕込んだ蛙の縫いぐるみを持たせたのだった……。


…………………
…………
……


 場所を移して、セブンスミスト店内。そこら中に溢れる女性ものの衣類に、居心地悪く嚆矢は通路に突っ立っていた。

「……暇だなぁ」

 遠くで、飾利と涙子がきゃいきゃいと服を選んでいる。因みに、飾利の顔色は先程より少し良くなっている。
 本人曰く、『元々、そこまでひどい訳じゃありませんでしたから』都の事。念の為に、こっそり治癒力を高めるルーンを使ったのも功を奏したようだ。

――さて、義母(かあさん)義妹(いもうと)の買い物に付き合わされてたから女性の買い物、特に服選びはかなり時間を要する事は分かってる……待ち時間は有効活用しないとな。

 と、セブンスミストから出ると入り口の壁に寄り掛かり、鞄から本を取り出す。ニ
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