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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
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うに吹き抜けた颶風に掻き消された。
 ニヤリと歪められた口元から覗く牙とほっそりとした四肢、そして腰の辺りから翅脈のように虚空に漲る――――魔力と共に。

「さぁ、狩りの時間だ――――」

 遥か地上に向けて、散歩でもするかのように、足を踏み出した――――


………………
…………
……


 そうして、『星の吸血鬼』が居なくなったのと同時に携帯が鳴り響く。今度は、心配がなくなった為に、画面を確認する余裕があった。

「もしもし、白井ちゃ」
「――遅いですの! 一刻一秒を争う状況ですのよ!」

 と、またも怒られる。よくよく見れば、何度も着信があった。
 恐らくは『妖蛆の秘密(デ・ウェルミス・ミステリィス)』や『星の吸血鬼(スター・ヴァンパイア)』の対応に集中していた所為で気付かなかったのだろう。

――日に二度も同じ女の子に醜態を晒すとか、今日は百分の一(サイアク)な日だな……。

「先程、重力子反応の異常増大を感知しましたわ。場所はセブンスミスト店内、『虚空爆破(グラビトン)』ですの。そして――狙いは恐らく、私達風紀委員……つまり!」
「理解した――――出遅れた分、きっちり護る!」

 そこで、黒子が言葉を続ける前に携帯を切る。先程刻んだ『探索』と『俊足』のルーンは健在、寧ろ余分に魔力を籠め直した程。無論、反動は全て『制空権域(アトモスフィア)』で最小限に留めた為……二文字同時の為、インフルエンザの時並みの倦怠感が身体を包んだ。
 だが、速度は落とさない。何故なら、この事件の犯人の標的は――飾利なのだから。

――……どンな怨みがあるのかなンざ知らねェが、無関係な一般人や初春ちゃんを巻き込ンでンじゃねェよ、爆弾魔(クソッタレ)

 絶対に許さないと。鋭い八重歯(けんし)を剥き、蜂蜜の瞳に戦意を漲らせる。
 その脳裏に浮かぶのは、全く身に覚えの無い情景。砕けた鋭い鉄の檻と揮発油(ガソリン)の臭い、焔。腕の中で、消えていく息吹――――

「――対馬さん!」
「ッ――――佐天ちゃんか! ちょうど良い、初春ちゃんは?」
「あ、えっと……」

 思わず没入し掛けたところで、避難誘導に当たっていた涙子からの呼び掛けで正体を取り戻す。頭を振り、気を取り直しながら問うが、涙子には分からないらしい。

『――伴侶ヨ、コノ騒ギノ元凶ヲ見付ケタゾ』
「ああ、今忙しいから爆弾魔は――」

 その時、『星の吸血鬼』からの精神感応(テレパシー)に『どうでも良い』と言おうとして、どうやら視界まで共有して――――避難誘導中の初春の姿を認めた。

『コノ娘ガ、騒動ノ元凶デアロウ?』
「ナイス誤解……じゃあ、次こそは爆弾魔を探してくれ!」

 右手の『妖蛆の秘密』から感じる
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