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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
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き残りルートヴィヒ・プリンが書いたものだよ。捕虜にされた中東で魔術を学んで、異端審問で焚刑に処せられる直前に。獄中でね」

 問われた少女は『中東の異端信仰関連の書だね。古代エジプトの秘密の伝説、伝承、サラセン人に伝わる占術や儀式、呪文、父なるイグ、暗きハン、蛇の髪を持つバイアティスなんかの蛇神について記されてるんだ』と続けたが、嚆矢はほぼ聞き取れなかった。
 何故なら、まるでその言葉を遮るように、携帯が鳴り響いたから。

「――もしもし」

 思わず、確認すらせずに出る。その向こうから。

『あ、こらコウくん! メッ、よ!』
「落ち着いてくれよ、義母さん……いきなり怒られても訳わからん」

 飛び出した怒声、義母からの叱責に耳を塞いだ。

『全く、訳の分からないものに手を出して……それに、何だかクソッタレブリテン売女のイギリス清教の臭いがするし』
「……義母さん、いま、何気に凄いワード言った?」
『そんな事どーでもいいの。問題は、今、貴方の知り合いの娘が大変って事よ。早くお店の中に戻りなさい!』

 言われて、セブンスミストを見遣る。やけに、『慌てて出てくる』客達を。

「――チッ!」
「あ、ちょっと君! まだ、『君が喚んだもの』が消えてないよ!」

 刹那、携帯を仕舞って走り出す。その腕を修道女が引いた。

「悪いね、お嬢ちゃん! その話はまた後で!」
「いや、今すぐどうにかしないとヤバい奴だってば! も〜、SAN値直葬になっても知らないんだからね〜っ!」

 それを手荒に成らないように振り払い、走り込む。暫く修道女の声が聞こえていた気がしたが……やがて、それは喧騒と――――

『______』
「……成る程、こりゃあ確かにヤバそうだわ」

 絶えず耳元で感じる、生臭い忍び笑いに変わった。今更に思い出す、右手の陰湿な蛆虫そのもののような魔本の感触と共に。

「『妖蛆の秘密(デ・ウェルミス・ミステリィス)』――魔導書、か。本当、勘弁してくれよ」

 鉄の表紙のその書を見詰め、意識を集中する。それ自体が魔力を持つ炉であり、『魔術(オカルト)』を行使する原動力となる、一種の儀式礼装。
 だが、中にはこのように『何かしらの悍ましいモノ』を奉るが故に、不用意に関係した者を破滅させる程の物もある。この本の場合は、不用心に『召喚の文句』を口にした者を生け贄に捧げるトラップのような物だろうか。

――って、ニアルさんが言ってたっけか。まぁ、そのニアルさんから貰ったもんでこうなっちまった訳だが。

 等と、責任転嫁している場合ではない。ならば、この『姿の見えない化け物』と折り合いを付けなければ。

「さっきのページは、っと! クソッタレが、見辛ェんだよ!」

 心底嫌だが、走り
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