第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
七月十八日:『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』
[12/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
き残りルートヴィヒ・プリンが書いたものだよ。捕虜にされた中東で魔術を学んで、異端審問で焚刑に処せられる直前に。獄中でね」
問われた少女は『中東の異端信仰関連の書だね。古代エジプトの秘密の伝説、伝承、サラセン人に伝わる占術や儀式、呪文、父なるイグ、暗きハン、蛇の髪を持つバイアティスなんかの蛇神について記されてるんだ』と続けたが、嚆矢はほぼ聞き取れなかった。
何故なら、まるでその言葉を遮るように、携帯が鳴り響いたから。
「――もしもし」
思わず、確認すらせずに出る。その向こうから。
『あ、こらコウくん! メッ、よ!』
「落ち着いてくれよ、義母さん……いきなり怒られても訳わからん」
飛び出した怒声、義母からの叱責に耳を塞いだ。
『全く、訳の分からないものに手を出して……それに、何だかクソッタレブリテン売女のイギリス清教の臭いがするし』
「……義母さん、いま、何気に凄いワード言った?」
『そんな事どーでもいいの。問題は、今、貴方の知り合いの娘が大変って事よ。早くお店の中に戻りなさい!』
言われて、セブンスミストを見遣る。やけに、『慌てて出てくる』客達を。
「――チッ!」
「あ、ちょっと君! まだ、『君が喚んだもの』が消えてないよ!」
刹那、携帯を仕舞って走り出す。その腕を修道女が引いた。
「悪いね、お嬢ちゃん! その話はまた後で!」
「いや、今すぐどうにかしないとヤバい奴だってば! も〜、SAN値直葬になっても知らないんだからね〜っ!」
それを手荒に成らないように振り払い、走り込む。暫く修道女の声が聞こえていた気がしたが……やがて、それは喧騒と――――
『______』
「……成る程、こりゃあ確かにヤバそうだわ」
絶えず耳元で感じる、生臭い忍び笑いに変わった。今更に思い出す、右手の陰湿な蛆虫そのもののような魔本の感触と共に。
「『妖蛆の秘密』――魔導書、か。本当、勘弁してくれよ」
鉄の表紙のその書を見詰め、意識を集中する。それ自体が魔力を持つ炉であり、『魔術』を行使する原動力となる、一種の儀式礼装。
だが、中にはこのように『何かしらの悍ましいモノ』を奉るが故に、不用意に関係した者を破滅させる程の物もある。この本の場合は、不用心に『召喚の文句』を口にした者を生け贄に捧げるトラップのような物だろうか。
――って、ニアルさんが言ってたっけか。まぁ、そのニアルさんから貰ったもんでこうなっちまった訳だが。
等と、責任転嫁している場合ではない。ならば、この『姿の見えない化け物』と折り合いを付けなければ。
「さっきのページは、っと! クソッタレが、見辛ェんだよ!」
心底嫌だが、走り
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ