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瀬戸際タイムマシーン
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クミコ夫婦」として。


   米神のマカロフ

 私の右手にマカロフが握られている。それはしだいに体温で温かくなり体の延長線上になる。これを米神に当てて引き金を引こうと考えたのはいつだったか。意思は時に捻じ曲げられ、突き抜けるタイミングを計っている。意思から行為へ。その長い道のりは確信への旅である。意思を抱いた胸の、その温度を保ったまま迷い無く行為にいたるのは至難の業である。愛を身体に満たして強い性欲を操るのと同じぐらい至難の業である。
 右手に温められたマカロフは米神に当てられる。その銃身はまだ冷ややかだ。冷ややかが骨に伝わり、銃弾が右から左へつきぬける想像をする。全ての想像が現実の導きになろうとしている。全ての想像が甘い夢を殺す。
 そう、私は死ぬ。死ぬという現実を強い想像力でひきつける。覚悟を決めたのだ。

 「遠く中国で、私の顔も知らない女の子が、この銃身を磨いたのかもしれない。生活費を稼ぐためこの銃身を磨き、その結果が私の死だ。どう思うか? 悲しいか? 何も感じないか? 人一人殺して何も感じないか?  ・・・・・・・・・・・・・んっ?」
 私は虐げているぞ・・・遠い国の女の子を虐げているぞ! 何の罪も無い女の子を虐げているのだ。
「なぁんてことだっ!!!」
 私と来たら私の鬱屈した精神で罪の無い人々を虐げているのだ。

 私の死への願望のなんと浅はかな事よ!

 私がアンドロイド小村で救おうとした『圧迫』がここにあったなんて。この『圧迫』が世の中にはびこっていたんだ。己の行為が他人に何の関係もないと嘯き、つながりを認めず、非難と弁解を打ち合い、強者は肥え太り、弱者は土を食む。いや、弱者は虐げられ、人まで殺さざるをえない世界なのだ。

 その『圧迫』の親玉が自分の中にもあったなんて!

 私はアンドロイド小村に繋がって助けを求めた。
「頼むぞアン公!」

  「イタダキ物で。」  小村&アンコウ

僕らが打ち上げたロボットの国は
宇宙の果てを目指しエンジンを探す
僕らは飛び立たないゆらゆらしない
今日の果ては相も変わらず明日

背中に羽が生えても舞い上がらない
心奪われる夢なんて見ない

眠る前に立ち止まって
空の国を思い出した

よいどれエンジニア達 最新兵器の心 
僕と想像をつなぐ 
間違った道はもう御免さ
僕らはロボットから エンジンをイタダキたい
一つ分けてくれないか
明後日に行きたいだけなんだ

僕らが過去の日に別れたフィクション
別の世界で知らない夢を見てる
水に映る螺旋のジェットコースター
交わるようで交わらないの心

地球にフィクション滲んで涙は枯れず
心あふれる宇宙にリアル

眠る前に立ち止まって
空の国を思い出した
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