暁 〜小説投稿サイト〜
瀬戸際タイムマシーン
瀬戸際タイムマシーン
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今日はマスを掻くなっ!!!!
汗まみれの男が言う。
「今日はこれで終わりだ。帰れ」
 椅子を引く音が幾重にも重なる。
白い部屋の蛍光灯が消される。


   妻「ナニガシ」の詠んだ詩

長く 続く 世界 それは きれい マジナイ師の
水晶 写す 未来 それは 渦に 飲み込まれると言う

永久(とわ)の 愛を 貫く 僕達は 
恋人にささやく 言葉は 嘘で固める

遠い 昔の 夕暮れ 僕が 剥がれ落ちて
赤く 厚い カーペット 渦に 巻き込まれるという

楽園の 放つ 甘い ジリジリは
中にいるからの 快楽を 醸しだす

長く 続く 世界 それは きれい マジナイ師の
水晶 写す 未来 それは 渦に 飲み込まれると言う♪

ベッドの上、夫「何某」のまぶたは閉じられている。それを見る妻は世界にまぶたを閉じる事について考えている。孤独は目を閉じた者に訪れるのか? 感覚さえ無い深い眠りのことを想う。死に近い? 矛盾するようだが感覚的に? 頭の中で理解できた「きっとこんな感じ」をリアルに感じてしまった後の衝撃に何の教訓を得ればいい? 理解と経験は違うのよ? 深く眠って世界に対して目を閉じるのは素敵なことかしら? 誰も答えてはくれない。少しわくわくする。セックスの後にもかかわらず頭が電気を帯びている。孤独にひどく憧れを抱く。誰にも受け入れやすい類の結婚願望のような爽やかさがさそう。そこにあるかもしれない沼の匂いをかき消す爽やかな風が吹く。
妻はキッチンへ行って一人でペットボトルのクリスタルカイザーを片手にマンゴーをかじる。歯が「カチカチ」かみ合うたびに「コツコツ」と頭の中に音が響く。さっき頭に響いた歌声が耳障りでなかったのは、きっとこの音の感じだったからだと納得する。猫は「ゴロゴロ」喉を鳴らし、傷を癒す。内響する音が身体を癒すのだ。私の声は私を癒しているのかしら?
妻は一人で声の内響と癒しについて考察を続けている。夫はその世界に目を閉じたままである。


  小村 文 と ジリジリの楽園

 それはまだ思春期の始まりに優と劣を分けるために存在する甘いジリジリ。
それはおしゃれな服をシンボルに掲げる街の占有者の国。
それは汗臭さを除いた狂乱の世界を想像させ、悪をおしゃれに染める。
それはくどき文句の要らない直感的意思疎通の世界。
 それは笑い声たゆまなく響く世界。大半の者、その世界に割り入るもそのジリジリに触れることはかなわない。
 それは大人の造った愛の溜まり。意識の広がったままセックスをする大人の世界。
 それはある意味、愛を見つけるのに一番近い島。それが「愛」なら、である。

 少年の時、周りの彼らは何を放っていたのか? 小村の手に触れることなくそこに厳然としてある甘い
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