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瀬戸際タイムマシーン
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の町外れの校舎の裏で
  おじさんが言う
  「坊主、たやすく愛を出しちゃいけない。
  愛は搾取の対象だから」

子供にはわからない背中と白髪
  僕と犬と彼女は倉庫の裏で
  黙って見ていたんだ

  賢そうな眼をした狼が
  僕の犬を見るんだ
  うなだれるように背を向けて
  歩く姿を見て
  僕の犬なんだと思う
  「まだ知られていない」
  僕の犬なんだって

  新潟の町外れの校舎の裏で
  おじさんが言う
  「坊主、たやすく愛を出しちゃいけない。
  愛は搾取の対象だから」

  子供にはわからない背中と白髪
  僕と犬と彼女は倉庫の裏で
  黙って見ていたんだ ♪

「アハアハ。愛は搾取の対象だって。アハアハ」男はひとしきり笑みをこぼす。

 若い男は切り替えて考える。切り替えて考える自分がシャープに思える。ハゲワシは禿げているから嫌われているのか? 死肉をついばむから? その存在自体が? 生きているだけで嫌悪を引き起こすことに思考を凝らす。彼は想像の中でハゲワシにカツラ被せ、性的なものを連想させる総ての欲望的な行為を覆い隠す。
醜いと言われる動物達の生態を地球規模で正当化する。「地球規模で言ったらアレよ・・・」ってな具合に。彼は「アハアハ」笑っている。「アハアハ。愛は搾取の対象だって。アハアハ」
残念ながら彼はそれほど頭が良くないのだ。彼はまだ自分が五センチ縮んだことに気づいていない。始めから自分の目線で物を見たことがないのだ。妻は未だ美しく、次第に欠如が目の奥に潜むようになった。美しい女によくある瞳の中の欠如だ。それが生まれてしまたのだ! 誰かが言わなければならない。
「あなたは五センチ縮んだのよ」って。マッタク!苦痛だ!
 それを知る苦痛は収まるべき彼のところに収まるのだろうか。五センチ縮むことは、彼の「純粋な苦痛」としての存在が生み出した嫌悪の対価なのか。五センチ縮んだ後も彼は嫌悪を生み出し縮み続ける、ないしは他の変化を遂げるのか。そのとき瞳の奥に光は戻るのだろうか? あるべき所に無いという苦痛はまだ続くのだろうか? フー・・・マッタク!

  
近隣にて

 嗚呼・・・・僕に君を輝かせる
 嗚呼・・・・君に僕を虐げる心があるなら

 一つ芝居をうって
 世の中を変えてみませんか
 これは醜い世の中だって・・・・・♪

 妻 ナニガシが言う。
「誰かが歌ってるわ」
「誰?」夫 何某が聞く。
「とてもきれいな声よ。邪魔しない声。私の意識とか、集中力とか。とても澄んでるわ」
「君の中でエネルギーが落ちてるんじゃないかい?」
「エネルギー?」
「君の意識がエネルギーって言葉で例えられる物だと
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