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乱世の確率事象改変
暗雲は天を翳らせ
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が正解。
 しかし長い目で見るのならば、祭りを成功させて民の心を少しでも解し、本城をしっかりと掌握すれば最大限の成果となり得る。
 一度でも城内に足を踏み入れてしまえば袁紹軍がどう行動を起こすかを民から注目される事となり、強制的にこの策に乗らざるを得なくなる点が厭らしい。

「これはさすがにズルい」
「だよねー。自分達の民を人質にしてあたし達を束縛しようってんだから。あたし達に民を守れって言ってるんだもんねー」

 その言葉に眉を顰めた夕はビシリと人差し指を突き立てて明の眼前に示した。

「明、そうとも言えるけど少し違う。平原から手に入れた情報によると劉備が治める街には特殊な仕事がある。区域警備隊という職業がカタチになっていたら暴漢や盗人による街の荒れは最低限抑えられているはず。
 だから……これは無言の取り引き。私達が攻める時間を遅らせてくれるなら、国の利益はこちらにくれる。遅らせないのなら内部の情報が手に入らないだけでなく、徐州ですぐには補給が出来ないという事。
 これは脅しというより私という政治屋への挑発の意味合いが大きい」

 様々な事柄を自身で確認していき、自分の力を試す事の出来る不可測の難問を与えられた事にゾクゾクと背筋に快感が走り、夕は表情を蕩けさせた。
 空城計など生ぬるい。戦争という力を行使する盤上から、平和的な暴力と言える政治の盤上にすり替えて袁紹軍を足止めに来たのだ。
 自軍が行動を整える時間を買う為に民を利用しながら街を売る大徳らしからぬ最悪の計略であり、袁紹軍が不徳を行わなければ民の為になる人を信じる大徳らしい異質な計略。劉備軍は敵である夕に対して民の為だけは手を組もうと言っている。
 糧食が解放されていれば即時の補給は不可能。民から直ぐに搾り取れば不満が募る。武器にしても、鍛冶屋にでも流されていたら買い取るしか無く食糧調達の予算まで減ってしまう。早期の侵攻によって糧食も軍備品も最低限しか持ってきていないのでどうしても徐州のモノに頼らざるを得ないのが厳しい所であった。
 更には、彼女達は先の戦で民から反感を買っている為に無理矢理な事は出来ないのだ。幽州に手こずっている状況で徐州まで、となると従えた豪族の心が離れるは必至。
 次の敵が誰であるのかを考えれば徐州の早期掌握は必要不可欠であり、袁紹軍としてもこの祭りの成功は民の信頼という無形の財産を得られる為に利が多い。

「どうせタダで城を渡すなら最大限に利用して値段を上げてから押し売りするってわけか……」
「ん。この策、劉備軍にとって波状効果が多すぎる。大徳の風評を生かす事も出来るし、無血開城は民の被害も減らせるから全く問題ない。私達の補給に時間を掛けさせて、あっちは逃げるにせよ戦うにせよ準備する時間が手に入る」
「それでもねー。民の心を惹き
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