第T章:天使炎上編
01:《黄昏の君主》、島外へ
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
有する装甲飛行要塞《ランヴァルド》。聖環騎士団というアルディギアが誇る対魔族部隊によって守護された飛行艇だ。
それが、魔族の襲撃を受けた。あの船には魔城が愛するアルディギア王女、ラ・フォリア・リハヴァインが乗っていた。彼女はぎりぎり逃げおおせたようだが、魔城の視力ではまだ彼女の救命ポッドが見える。恐らく襲撃してきた魔族が総力をもって探せば見つけられる距離だろう。彼女が魔城にすら見えなくなるまで逃げないうちには、魔城が引くわけにはいかない。
「――――『芽吹け、《ユグドラシル》』!!」
ぽう、と緑の光が魔城の胸に宿る。そして魔城は、世界樹が従える眷族の一柱を呼び出した。
「『煉獄の《ニダヴェリール》より来たりて、打ち鍛えよ、《神器の鍛冶師》』!!」
召喚されたのは、数々の神器を鍛えたという小人の名をもつ眷獣だ。六臂にそれぞれハンマーをもっている。
《ブロック》と天使がお互いに傷つけ合う。近接戦闘は得意ではないのか、その戦闘は五分五分、といった感じだった。ブロックも本来戦闘用の眷獣ではないのだ。
その状況が動いたのは、邪悪な天使が悲鳴のような叫びをあげた時だった。
「OAaaaaaaaaa―――――――――――――ッ!!!」
「なっ……!?」
神気の波動が周囲にまき散らされる。ビル群が粉々に吹き飛ばされる。絃神島が、震える。眷獣を避難させた魔城は、それが失策で会った事に気が付いた。
「しまっ……」
神気の波動が、魔城をも吹き飛ばす。それも、猛烈な勢いで。
「うわぁぁぁぁぁ……!?」
夜空に、《番外真祖》の情けない悲鳴が響き渡った。
次の夜、絃神島に向かっていたアルディギアの飛行艇が撃墜され、不時着したことが関係者に知れ渡る。乗員の大半は死亡していたという。乗っていたラ・フォリア・リハヴァイン王女は行方不明、恐らく救命ポッドによって脱出したと思われる。生存者の証言によると、襲撃してきたのは吸血鬼の女と獣人の男、そして、不気味に歪んだ天使だったという。
そして時を同じくして、絃神島にひっそりと停泊していた《番外真祖》もその姿を消す。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ