【01】星の海
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星を継ぐヤマト
瞬く星の海に身を委ね
あなたの元へ、帰りませう
遠く遠く離れた2人が
いつか巡り、帰れるように
その日も、医務室は大にぎわいだった。
先の戦闘からこのかた、ベットが埋まらない日は無い。
むしろ今日などは、廊下にまで溢れる始末だ。
「次!」
しかもこんな時に限って、佐渡先生は不在。
例のガミラス人の検査結果を艦長たちお偉方へと説明をしているらしい。
「はい、次!」
もちろん私には関係のないことだ、と割り切っていたが。
こうして業務が増えるのであれば、由々しき問題だ。
とてもじゃないが、私1人でさばききれるような患者の数ではない。
佐渡先生が戻ってきたら晩酌と愚痴に付き合ってもらわないと。
「次!」
「大丈夫です、今の方がラストですよ」
「原田。そう、終わったのね」
無我夢中だったせいで廊下まで意識が回っていなかったが、どうやら波は引いたようだ。
重傷者は3名。業務に支障が出るのが7名。
他の患者は問題無し。
私はマスクを取り、大きく息を吐いた。
「お疲れさまです」
「ありがとう。佐渡先生は?」
「もう少し艦長たちと話があるそうです」
「ったく、私に押し付けて」
ゴム手袋をゴミ箱へと放り投げ、ソファーに深々と腰を下ろした。
年なのかしら、肩が少し…
「んで?例のガミラスちゃんは?」
「母艦が消滅してしまったので、しばらくは捕虜という扱いで乗艦させるみたいです」
「そう…新見ちゃんのカウンセリングの患者も増えそうね」
「かもです。あ、これ、佐渡先生から」
「ん?」
「里華さんにも見ておいて欲しいそうです」
「あぁ、検査結果」
「それじゃ私、佐渡先生のところ行ってきます」
小さな噴出音を立てて閉まる扉。
私はカップを用意しながら検査結果のページを表示させた。
メルダ・ディッツという、ガミラス人の検査、もとい調査結果だ。
人類が初めて遭遇した、地球外知的生命体、そしてその科学力。
その圧倒的な力の前に、地球は今滅亡のふちに経たされている。
青かった海は蒸発し、放射能に汚された大地からは生命が消え去った。
何とか難を逃れた人類は地下にその生活を移し、滅びの時を待ち構えている。
そんな時にもたらされた、救いの手。
『波動エンジン』
そして
『コスモリバースシステム』
人類は最後の希望を掛け、このヤマトに波動エンジンを載せ、片道およそ16万光年という途方も無い旅へと発った。
「星の彼方…か…」
現在ヤマトは天の川銀河の外れを宙域を航行中だ。
波動エンジンのおかげで実現した、恒星間ワープシステムが功を奏している。
しかし、地球に残された時間はごく僅か。
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