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おじさんとぬいぐるみ
第四章
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第四章

「御仕事ですか?」
「そうだよ」
 その通りだとだ。おじさんの声が返ってきた。
「今描いてるからね」
「後でお部屋も掃除していいですか?」
「えっ、部屋も?」
 おじさんの声が驚いたものになっていた。
「僕の部屋もって」
「御掃除するならやっぱり」
「徹底的にっていうんだね」
「はい、ですから」
 それでだというのだった。
「駄目ですか?本当に」
「今は仕事中だけれど」
 それでもだとだ。おじさんは一応はといった感じで述べた。
「それでも。したいのならね」
「台所もしておきますね」
「えっ、そこもするんだ」
「あとおトイレやお風呂もしておきます」
 そこもであった。掃除するというのだ。
「そうした場所が終わってからしますから」
「そこまでしなくていいのに」
「いえ、させて下さい」
 返答は強いものだった。
「是非共です」
「潔癖症だね」
「っていうかおじさんずっとこうした場所で暮らしてたんですか」
「漫画家だからね」
 返答はこうであった。
「だからね。これもね」
「あの、それが理由ですか」
「駄目かな、それが理由で」
「理由になってないんじゃ」
「そうかな」
「とにかく御掃除させてもらいます」
 それは絶対だという彼女だった。
「洗濯もしますから」
「そういえば洗濯機もあったんだ」
 今更の様にだ。思い出した感じの言葉だった。
「買ってから殆ど使ってないからね」
「洗濯も年に何回かだったんですか」
「一回位かな」
 これまた極端な回数であった。清々しくすらある。
「それ位だね」
「着替えは」
「外でないからね、コンビニ以外」
 これまたな返答だった。障子の向こうからの返答だ。
「だから別にね」
「あの、本当にそれは」
「まあいいじゃない。それじゃあさ」
「御掃除頑張りますから」
「うん、まあやりたいのならやって」
 とりあえず自分の部屋も掃除するということは信じられなかった。だがすぐに神経を漫画に集中させてだ。彼は描いていく。暫くしてだ。
 まただ。声がしてきた。
「終わりました」
「終わったって?」
「洗濯も終わりました」
 それもだというのである。
「全部。終わりました」
「終わったんだ」
「御仕事はどうですか?」
「今一段落きたよ」
 ここで話す彼だった。
「それじゃあね」
「御部屋の御掃除していいですか?」
「ああ、いいよ」
 信じられないといった口調だが答える彼だった。
「それじゃあ。御願いするよ」
「はい、じゃあ」
 こうしてだった。おじさんは部屋を出た。妙子は入れ替わりに掃除機や雑巾を持って部屋に入る。擦れ違いおじさんが見たものは。
 これまで見た世界とは別の世界だった。それがそこにあった
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