第十一章 追憶の二重奏
第六話 咆哮
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頭を歩く士郎を囲むように歩くのは、ルイズ、キュルケ、タバサ、そしてロングビルの女四人である。
何故こんな人員となったのかは、とある複雑な事情があった。
……水精霊騎士隊で動ける者が一人もいなかったからだ。
本来ならば士郎とルイズ、そして水精霊騎士隊から何人かが来るはずではあったのだが、先日の騒動のせいで、ギーシュ以外の隊員は全員未だにベッドから出れない状態であり、唯一無事であったギーシュも今朝の暴走により士郎から制圧され際の負傷によりベッド送りとなってしまった。
しかし、アンリエッタからのご下命は、ルイズを連れて至急王宮まで来られたしとだけあったため、特に問題はないなと士郎はルイズと二人で王宮へと向かうことにしたのだが、何処から情報を入手したのか分からないが、仕度を終えたルイズと共に学院から出ると、そこにはキュルケとタバサ、そしてロングビルがいた。士郎を待ち構えていたキュルケたち三人がついてくることを勿論のこと士郎は拒否したが、やはりというか聞く耳を持たない三人は半ばと言うか完全に無視して着いてくることになったのである。
そんなこんなで無事に王宮に着いた士郎たち一行が、アンリエッタが待つ部屋に通されると、そこには笑顔で士郎たちを迎えるアンリエッタがいた。
士郎たちを笑顔で迎えたアンリエッタは、キュルケやタバサを一瞥したが、特に何も言うことはなかった。
「学院に戻ったばかりで、まだ落ち着いていないところ呼び出してしまいすみません。急ぎあなたがたにしかお頼み出来ないことがありまして」
「頼みとは?」
部屋に入るなり頼み事があると口にするアンリエッタに、士郎が腕を組みながら問いかける。
「アルビオンにいると思われる虚無の担い手の捜索をお願いしたいのです」
「―――っ」
アンリエッタの返事に反応したのは、問いかけた士郎ではなく、その後ろに立つロングビルであった。士郎の背中越しにアンリエッタを見るロングビルの目が細まる。
「……理由を聞いても」
ピクリとも身体を動かすことなく、士郎は話を続ける。
しかし、正面から士郎を見つめていたアンリエッタの目は、自分をみつめる士郎の目の奥に一瞬鋭い光りが走ったのを捉えていた。
「……ルイズを狙っている者たちは、ルイズではなく虚無の担い手を狙っています。ですので、ルイズ以外にも虚無の担い手がいるというのならば、ルイズを狙う者よりも先に担い手をトリステインで保護しようと思ったのです」
「……ルイズが襲われてから随分と時間が経っているが……何かあったのか」
刃物のように鋭い声と視線を向けられたアンリエッタは、否定することなく小さく目を伏せると顎を軽く引き頷いた。
「……ええ
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