第十一章 追憶の二重奏
第六話 咆哮
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寝てたら溜まるもんなんでしょ」
靴下を履き終わったジェシカが、下着と靴下だけを履いた姿でベッドから降りる。
「……それがルイズの場合は少し違うらしい。前にデルフから聞いたんだが。ルイズの系統魔法は少々特殊でな、寝れば溜まるというのは同じなんだが、強い分燃費が悪いというか、再度魔法が使えるまでには時間がかなりかかる可能性があるようだ」
「へ〜、流石は『虚無』ってことかしら?」
「……知ってたのか?」
会話をしながら椅子に座り背中を向ける士郎に近づくジェシカ。椅子に座る士郎の背後に立つと、ジェシカはゆっくりと士郎の首に向け手を伸ばす。
「まあ、ね。少し注意しときなさいよ。あの子結構隙だらけだし、油断なのか信用してくれてるのか、時々自分から口にしてるわよ」
「……一応注意はしているんだが」
士郎の背中に乗りかかるように身体を密着させたジェシカは、耳元で囁くように話しかける。
耳の穴をねぶるように囁くジェシカの声に、背筋に寒気にも似た快感が走るが、士郎は仮面のように苦笑を顔に貼り付けたままであった。
「で、結局あの子がまた魔法を使えるにはどれくらいかかりそうなの?」
「さて、十日か一年か……それとも十年か……ハッキリとした答えは出ないな」
「それはまた……何か短縮させる方法とかないの?」
士郎の頬に自分の頬を擦り付けながら、ジェシカは甘えた声で問いかける。
……視線はベッドに向けながら。
「あるにはあるが……ま、一応焼け石に水だろうが俺に出来ることはやってはみたが、それがどれだけ力になるかどうか……」
「何をしたのよ?」
士郎の首に回した手に力を込め、更に身体を密着させたジェシカが首筋に顔を埋める。微かに首筋に触れる唇から漏れる声は、士郎の身体に当たり低く篭った声となって士郎の耳に触れた。
「まあ、ちょっとな。ルイズの魔力切れには俺の責任もあるしな」
「……ま、メイジ様のことなんてそんなに知らないし、別にいいけど……ルイズ、あの子結構気にしてたみたいだから、出来るなら早く何とかしてあげてね」
「それは勿論だが……それはそれとして、さっきからお前は何をしているんだ」
「え、何って?」
士郎の疑問の声を聞きながら、ジェシカは士郎の膝の上に「よいしょ」とばかりに上がり込むと、朝日に透ける殆んど裸同然のネグリジェのような下着だけをつけた身体を士郎の胸板に擦り付け始めた。
「……洗ってあげてるんでしょ?」
え? 何言ってんの? みたいな言っている意味が分からないとばかりに真面目な顔で首を傾げるジェシカの姿に、士郎は顔を両手で覆った。
「何処が洗っているんだ」
「何処がって? ほら、今シロウって色んな匂いを漂わせてるじゃない。だから、わたしの匂いでそれを
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