第十一章 追憶の二重奏
第六話 咆哮
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た士郎はベッドに顔を向ける。士郎の視線の先にはベッドの上、起き上がらせた身体にシーツを巻きつけた女性の姿が。ベッドの上で眠りこけていた三人の内一人。
―――ジェシカに。
「もう起きたのか?」
「ん〜、と。もうってほど早い? 一応メイドだからね。そろそろ起きないと仕事に遅れるのよ」
「ふあり」とアクビを漏らす口元を手で隠し、未だ火照りが抜けきれていないのだろう赤みがかった肌をもう一方の手で仰ぎながら背伸びをする。天井に向け両手を伸ばし背筋を伸ばす。豊満と言ってもいい大きな胸を、若さだけではない張りと艶を見せつけるように突き出すジェシカに、士郎は顔を逸らしながら注意する。
「少しは身体を隠せ」
「あらら? 昨夜はあれだけあたしの身体を弄んでくれたのに、まだそんなこと言うんだ?」
「それとこれとはまた別の話だ」
ジェシカから顔を背けたまま、士郎はベッドの周りに散乱する服の中からジェシカの服を手に取ると、それをベッドに向け投げつける。士郎の手から離れた服は、ふわりと風をはらみ広がりながらも、狙い違わずジェシカの身体に掛かった。
「ぷぁっ……何するのよ。それが愛し合った女に対する態度なの?」
膝の上に落ちた服を掴み、顔に当てたジェシカが「よよよ」と泣き崩れる仕草を取ると、士郎は溜め息をつきそうになる口元を引き締め、何とか苦笑いに押しとどめる。
「……愛し合うというよりも、食い殺された気がしたがな」
「―――見解の相違だね」
士郎から投げ渡された服を着ながら、ジェシカは隣で眠るルイズに目を落とす。
「で、シロウとしてはどうなのよ?」
「どう、とは?」
ベッドから離れ、ジェシカたちに背中を向け椅子に座った士郎は、背中越しに首を傾げてみせる。
「ルイズのことよ。何か魔法が使えなくなったみたいなこと言ってたけど」
「ああ、それか」
「びっくりしたわよ。シロウがルイズに部屋に連れ込まれたって聞いて追っかけてみたら、縄で縛られて床に転がされたシロウがいるわ。両手に鞭と杖を持ったルイズはいるわ。しかもそのルイズが何度も呪文を唱えてはシロウに向けて杖を振り下ろしているわ……どんな特殊なプレイかと思ったわよ」
「……なんでさ」
溜め息を着き士郎の頭が若干下がる。
「あれは実験のようなものだ……まあ、実験といっても一方的で強制的な動物実験だったがな。まあ、ルイズが魔法を使えない理由は大方の予想はついているが……」
「予想ついてるんだ……で、んじゃその理由って?」
ベッドの上で、下着を履き終えたジェシカが靴下を履きながら首を傾げる。
「十中八九魔力切れだろうな」
「魔力切れ? ふ〜ん、そうなんだ。なら大丈夫なのね。確か魔力? 精神力だっけ? は、聞いた話じゃ、
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