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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
14.模造の天使
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た。
「殿下におかれましてはご機嫌麗しく……七年ぶりでしょうか。お美しくなられましたね」
「わたくしの血族をおのが儀式の供物にしておいて、よくもぬくぬくと言えたものですね」
冷ややかな口調で、ラ・フォリアが答えた。賢生は一つも表情を変えない。
「お言葉ですが殿下。神に誓って、私は夏音を蔑ろに扱ったことはありません。私があれを、実の娘同然に扱わなければならない理由──今のあなたにはおわかりのはず」
「実の娘同然の者を、人外の者に仕立て上げようとしたと言うのですか」
ラ・フォリアの口調に、非難の響きが混じる。
「いえ、むしろ実の娘同然なればこそ、と申し上げましょう」
銀髪の王女は溜息をついた。
「叶瀬夏音はどこです、賢生」
「我々が用意した
模造天使
(
エンジェル・フォウ
)
の素体は七人。夏音はこれらのうち三人を自ら倒し、途中で敗北した者たちのぶんも含めて六つの霊的中枢を手に入れました。人が生まれ持つ七つの霊的中枢と合わせて。これで十三。それらを結びつける小径は三十。これは人間が己の霊格を一段階引き上げるのに必要十分な最低数です」
賢生が丁寧な口調で告げる。その口振りに古城はなにを言っているのかわからなかった。
その時だった。とてつもない魔力が空気中に止め度なく流れ出るのを感じる。それは古城の後方。
驚いて振り返る古城は、驚愕する。
その魔力の正体は、伝説上の吸血鬼“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の力を持っている少年によるものだった。その魔力からは、どこか怒りにも似た感情が溢れ出ているように感じる。
「彩斗?」
彩斗は膨大な魔力を放出しながらラ・フォリアの横を通り賢生と対面する。
「んなことは、どうでもいんだよ……夏音はどこだ……叶瀬賢生」
鋭い眼光が賢生を睨みつけている。
「そこの坊やは話が早くていいわね。だからあんたたちにはチャンスをあげるわ」
ベアトリスが舌なめずりをしながら気怠そうな視線を向ける。
しかし動いたのは彼女ではなく、賢生だった。彼が黒服の懐から小型の制御端末を取り出し、それを見たキリシマが甲板に積まれたコンテナケースを開ける。
棺桶に似た気密コンテナ。
その中に横たわる小柄な少女が、白い冷気をまとったままゆっくりと起き上がる。
患者着に似た衣服。剥き出しの細い手足。綺麗な銀髪。そして不揃いな醜い翼。
「──叶瀬!」
「叶瀬さん!?」
眠りから目覚めた少女へと、古城と雪菜が同時に叫んだ。
ベアトリスは、なんの感情もわかないという瞳で眺めている。
「第四真祖に、獅子王機関の剣巫。それとそこのバカな魔力を垂れ流しにしてるガキ。三人がかりで構わないからさ。あの子と本気で戦ってやってく
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