給食の恨みと疲れる話
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フー……ヒッヒッフー……」
なぜ妹が生きているのか? それがこの世の謎だ。悪意を持って願いたい。冥星はあの時、なぜこんな雌犬の娘の手を握ってしまったのか。どうしてあの時屋敷の外に出てしまったのか。考えれば考えるほど、泥沼に浸かってしまうような感覚に陥る。
くだらないことだ。興味がない。しかし、その言動を許すことはできない。それは死者に対する愚弄であり、何よりも、傷が疼くのだ。
疼くのだ……。
「生きている……」
「……本気で、言ってるの? どうしてあんな奴のこと……」
「あいつのご飯が、食べたいからだ」
「…………バカだよ、にーちゃ……兄貴は」
「お前にはわからんのだ。家族が死んだ程度のことで殻に閉じこもってしまうような、脆弱なやつにはな」
冥星は冷静さを取り戻していた。振り返ってしまったことに対しては己を律することができなかったので弁解する余地はない。明子が叫ばなければ自分は何をするかわからなかった。自分は頑張らないと決めた。そうじゃないか。そう言い聞かせる。
「――飯、食ってくる」
今日も、冥星は平和に過ごす。頑張ったって意味はない。努力したって疲れるだけだ。もう、それをする意味は見つからない。だってもう見つける力も気力もないから。
何よりも、その意味を、忘れてしまったのだから。
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