第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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内務省の助っ人がおいでなすった」
絢がそう言うと、後方からヘリの駆動音が聞こえてきた。二人は建物の外に出ると、その正体が見えた。ロシア製であり、二重反転ローターが特徴的なKa-50チョールナヤ・アクーラ攻撃ヘリの派生機、Ka-50-2エルドガン多目的攻撃ヘリだ。それは対戦車ミサイルが戦車を吹き飛ばし、機関砲とロケットポッドで敵歩兵を一掃していく。
絢の周りにいつの間にか、優奈と冬香が来ていた。戦闘は終焉へと向かっていた。その時だった。無線に通信が入ったのは。絢が無線に出る。送り主は三村隆和少尉だった。
【01a、こちらb01。応答せよ、オクレ】
「こちらb01、どうした?」
【ただちに残存兵力を纏めて後退の準備をしろ】
「どう言う事ですか?
こちらはまだ持ちこたえています。それなのに店を畳んで後退しろとは……?」
【状況が変わった。迎えの車両を送る。こちらもマイク・エコーへと後退中だ】
冬香が口を開いてぼそりと言った
「……マイク・エコーは非常事態の時のための脱出ポイントでしたよね……?」
「その通りだ。そして6年前に閉鎖された軍の第325工場の跡地だ。そして軍が一番に奪取した所だ」
一方、絢は三村にさらなる説明を求めていた。
「マイク・エコーに後退!?
敵が優勢となり、尚且つ制空権が喪失した時の為の緊急撤退拠点ですよ!?
この戦場で一体何が!?」
【すぐに、分かる。直に、な】
「それは―――」
どうゆう事ですか!?
絢の言葉はそう続くはずだった。だが、それも尻切れトンボになってしまった。彼女の眼に映った空によって。
空に光が走り、ヘリが次々と落ちる。ヘリだけではない、次々と空で光が瞬き、空を飛ぶありとあらゆる物が煙を吹いて落ち始めた。
「何てことだ……」
誰かがそう呟いた。何時しか吹き出していた冷たい風が彼らの肌を撫でる。空に浮く雲は多くなり、今にも天を覆い隠さんとするほどだ。
「後退するぞ。兵士を纏めろ。この嵐から脱出するんだ。この嵐はさらに強くなる……。さぁ、行けっ!」
絢の言葉と共にその場にいた兵士たちは一斉に動き出す。少女は一人空を見上げ、銃を強く握りしめた。身を守る物を失わないように。
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