第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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飛行機雲を引いて航空機が空を翔けて行くのを、地上を進んでいる兵士達が見上げた。彼らは荒廃した街の中を軽装甲機動車で進み、自分の命を危険に曝しているのだ。少しは愚痴も言いたくなる。また、彼らがまだある程度安全な所に居る事が口を湿らせる。
【見ろよ。お空の騎士様は清潔なコックピットで、大空を散歩してらっしゃる。俺も一度は雲の上でスキーを滑る様に飛んでみたいぜ】
【やめとけ、どうせ転倒して地面にキスするのが落ちさ】
【へぇ、お前はどうする?】
【あっ、俺か?
俺は高い所が嫌いだから遠慮しとくさ】
「いい加減にしろ、お前ら。魂を空高く上げたいのか?」
【ご遠慮いたします、一等軍曹。あんなのヤバイクスリを打つより性質が悪い】
古参兵達が愚痴の連鎖を山田絢一等軍曹が中断させる。始まったら限が無いったらありゃしない。もっとも、小隊全体は静かだった。殆どの兵士が新入りであり、目の前で起きた仲間の死が彼らを緊張させていた。
一方、三村隼也少尉は、広域データリンクに接続する為のデバイスである端末と車の助手席で睨めっこしていた。情報の更新が遅く、また、更新されても戦場全体の状況が悪化しており、それが彼を苛立たせる。そんな彼の元に絢が後部座席から顔を出す。彼女も端末を開いていた。
「5-6のリンクが切れています。無線で呼びかけても返答なしです。ですが無人機の情報では戦闘は続いています。まだ生きているかもしれません」
「俺たちが到着する頃にはには全滅かもな。だが、進むしかない」
三村はやれやれと頭を振る。本当に厄介な事になった。
「ともかく、私は先頭に出ます。もしもの時は殿を務めますので」
「分かった。仁野、篠宮」
「はい」
「なんですか〜?」
三村の言葉と共に絢と同じく後部座席に座る篠宮冬香特技兵と運転している仁野優奈一等兵が返事をする。相変わらず、優奈の口調は軽いが……。
だが、三村はその事を気に触れるような素振りもせずに話を続けた。絢が席へと戻ったたからだ。最早、結果は見えた。
「君達には現場に到着後、山田軍曹及び第1分隊と共に拠点を偵察し、小隊の安全を確保しろ」
「了解しました」
「りょ〜かい」
「それと仁野君」
「何ですか?」
「後ろを向きたまえ」
「エッ?」
三村の言葉と共に優奈がバックミラーを覗く。そして彼女の視界に移ったのは、絢のニッコリとした笑顔だった。そのまま後ろから手が伸び、優奈の首筋を、背もたれと腕で挟み込み、思いっきり締め上げる。
車の運転が乱れ、蛇行運転する。運転しているのは優奈であり、そのような事をされれば誰でも暴れるはずだ。そのまま車は前後の建物にぶつかりそうになりながら、建物に泡や激突と言う所で車が止まる。その
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